第5話
「本当に君のおかげだよ。ま、今日は楽しんでいってくれたまえ。」
男が去ると、入れ替わるように女達が入ってきた。煌びやかなドレスを見に纏った彼女達に、私は取り囲まれた。
見るからに高そうな酒を運んでくる黒服の男。ロマンスグレーの髪をオールバックに撫で付けた彼の背中からは、長いコードが生えている。
そのコードを引きちぎりたい衝動をぐっと堪え、グラスに口をつける。相当旨い酒なのだろうが、不思議と味は感じられなかった。
「大臣が仰っていましたよ。天才科学者さんなんですって?」
「素敵。今日はたくさんお話、聞かせて下さいね。」
息苦しい。乱暴にネクタイを緩める。
こんなはずじゃなかったーーー。
充電式 @the238
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