炎と氷とグリセリン その3

 ぐわぁと力無く、豚顔オークが地面に膝をつける。

 すでに、毒や麻痺、そして体が徐々に動かなくなる病気等をくらい、可愛そうにオークはフラフラしている。


 リリファーズはニヤニヤ笑いながら、少し遠目からモーニングスターを打ち込んでくる。


 この前、「私、今度、石化解除の魔法覚えるんだ!!」と嬉しそうに言っていた。


 ……石化か?こえーよ、超異世界美少女シンデレラ(自称)


 結局、一撃もくらう事無く、オークを仕留めるリリファーズ。遠目から、状態異常魔法をかけまくり、弱らせて動けなくしてから止めをさす。あいつがイライラしてる時に取る戦法だ。機嫌悪そうだな?あの日か?


「こちら、終わりましたよー……あらあら、まだ、やってるんですか?」ふんと鼻で笑ってウィルを見る異世界シンデ(略)


「あのブス、殺す!!」ウィルがゴブリンを無力化しながら、いせシン(略)に言葉少なく自分の気持ちと心情を述べた。多分、キレてる。


 よほど頭に来ているのだろう、近づいてきたゴブリンの先ずは、足を攻撃し動けなくして、次に腕、最後に致死率の低い剣の腹を使って、腹や胴を殴りボテクリ殺す、機械の様に馬車に近づいてきたゴブリンを五匹とも全部同じエグいやり方で倒していた。


「……すっきりした。じゃない、人に仇なすもの、成敗した」血まみれになってる笑顔がこえーよ、くそタンク。


 なかまにめぐまれてるなあ。


 などと思いながら、乱戦でゴチャゴチャになってしまっている中で、当たるを幸いに剣を振り回す。


 コツは、当たったと思ったら出来るだけ力を入れて相手を吹き飛ばそうとする事だ。そうすれば密着し過ぎて数に任せて捕まってしまう事も避けられる。


「喰らいやがれ!!フルスイング!!」両手に握った剣を支点となる軸足に気をつけて大きく振り回す!!


 切り裂くというよりは、ぶった切る感じで 、剣に当たった敵はどこかしらに致命傷を受けて吹き飛んでいた。


「うっしゃリーダー!!とどめよろ!!」気がつくと、2~3ヶ所ダメージを受けていたがアドレナリンがからだを回っているせいか、痛みをあまり感じなかった。


 だから、どうした。まだまだ敵はいるじゃねぇか!!俺も仲間達と一緒だな……。


 バトルジャンキー戦闘狂、あいつらには負けねぇ!!


「尻拭いばっかだな」リーダーがスタッフをかかげ詠唱を始める。いつもの簡易式詠唱ではない。力のある言葉は魔力の通り道を作りそこを力強く流れ始める。


『力ある弾丸・打ち砕け・敵滅びるまで』


『パワーブリッド 』


 スタッフの先に出来た大きなスイカ程の光の玉が現れ爆散する。


 爆散した光は、致命傷をおい、ぼろぼろになったゴブリンに刺さり息の根を止めていく。光が当たったゴブリンは、ビクンと大きく跳ねてそのまま動かなくなった。


「ブリッド一発で何体倒せた?コスパ最高だな」呆れた様にギルマークかつぶやく。


「実際、単体には必殺、複数にはダメージを上手く与えて周りを使える、アタッカーとしては、一流なんだよな、あいつは」アークを見て、苦笑いする。


「リリ、アークにヒールしなくて大丈夫か?」


 ギルマークの声に真顔で、「いらない」と左手をヒラヒラさせるリリ。


 渋い顔をするリーダーに、


「別に攻撃受けた箇所、肩と胸でしょ?鎧の硬い所で受けてるし、手足じゃなければ、あいつの機動力落ちないからね……何よ?」


「いや、アークの事、良く見てるなって」ニヤニヤ笑うギルマークの足元に、ドゴッと大きな音を立てて鎖に繋がれた鉄球がめり込む。


「リーダーるさい」


「怖い怖い、お口チャックしときますか」

 まだ、戦闘は終わっていない、最後まで緊張は解かない様にしないといけない。


 とは言っても、そろそろ終わりそうだなと思いつつ、襲われていた馬車相手にどう交渉しようか? それもリーダーの仕事かよと頭を悩ませるギルマークだった。



「俺はタンクだから、しょうがない、役割果たしただけ、あのバカが数倒したからと言って当たり前、威張ったら殺す」ブツブツ言って、アークを射殺す様な目で睨み付ける。


「私、ボスキルオーク倒したししたし」ふふんと胸張るリリファーズ無い胸を(倒置法)


「ふん、同類殺しが」


「ちょっとまてウィリアム、それって私が豚って事かぁ!?」キレかけるリリとフンと鼻で笑うウィル。


「なぁリリ、豚の話してる位なら、ヒールくれよヒール、結構身体中痛いんだよ!!頼むわブヒー」


「だから、誰が豚じゃあー!!」


「リリファーズ」指を指す。


「よっし、何から行く?毒か?麻痺か?石化なんて、この超異世界美少女シンデレラのリリファーズが楽はさせないぞ?」テヘペロッと凶悪に笑うリリファーズ。


「お前ら言い合ってるなら、耳取るの手伝えよ」

リーダーが泣きそうになりながらゴブリンの死体から耳を削いでいる。


三人で、言い合っていると馬車から鎖かたびらを着た太った男がゆっくりと降りてきて俺達三人の所へ話しかけて来た。


「今、馬車がギシッて揺れた?」

「揺れた、デブの所業」

「あれもオークじゃないか?」

「馬車で逃げるなら、重し捨てないとねぇ」

「なぁ!?」と三人で笑う。人の悪口を言う時だけ、仲が良い三人。


「あぁゴホン、先ほどはいや助かった」


良く見れば鎖かたびらの男は髭おやじだった。


やっぱり、捨てて逃げた方が良さそうだよな?


「おぅ、うん良かったなおっさん、俺達がいて」


後の金関係は、リダが頑張ってくれる。頼んだギルマーク!!










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