愛されることを渇望する少年の切ない物語

初めまして、貘餌さらと申します。
書評企画から参りました!
『永遠を生きる魔女と元王子の使い魔くん
水』を拝読しました。

 第一話から、ノアールくんがご両親に見てもらいたくて、認めてもらいたくて頑張る姿が切なくて堪りませんでした。結局最後までノアールくんを拒否する王妃と、クーデターの身代わりにしようとした父親が憎らしく、私がこの手で……!と思ってしまうほどでした。
 そして逃げた先、魔女とともに今までの生活とは一変した厳しい暮らしを強いられながらも、ノアールが心の底から望んでいたことを、なんだか食えない魔女から彼女の意図せぬうちに与えられ、無意識か自覚的か魔女に依存していく様子が綺麗に描かれていて、とても読みやすく次々読み進めてしまいました。
 新たに現れた敵であるティアラを救えなかったことを悔い、魔女の拾い癖を利用する狡猾さを身につけて「生まれてすぐ親に捨てられた子どもが安穏とした幸福な生を全うする」ことができる世界を作ることを目標に頑張る姿を見て、ノアールはずっと自分自身を救いたいのだなと思いました。リュシエンヌと出会い、彼女と友愛を育みながらも、やはりノアールはどこまでいっても「愛されたい」という願いが叶わないと思っている姿がまた切なく、不憫でした。
今後の展開も楽しみにしております!
長々と失礼いたしました。

またもしご興味がありましたら拙作も読んでいただけると嬉しいです☺️