春秋時代コメンタリー
第8話 晋
作者は現在、はに丸様の『父の仇に許された』
https://kakuyomu.jp/works/16817139555463331404
にて履修済という、はに丸様が聞いたら血の気を思い切り引かせて「そんなことせずにちゃんと左伝と国語を読め! そっちで学べ!!!!」と絶叫させてしまいかねぬ状態である。
文公の話がくる前に既にいちど分裂しかけて傍流が主流を食ったりと、この国もなかなかに忙しい。こちらもやはりはに丸様が『創世記』として展開をなされておる。
https://kakuyomu.jp/works/16817330662502026894
春秋時代の覇権国になったにもかかわらず、いや、ある意味ではなったからこそ諸侯らに食われ分裂する末期を迎えるなど、まさに栄枯盛衰を地で行っている感じがあり、非常においしい国である、と言えよう。
ここで「なんでそうなったねん」の元ネタを探してみたところ、
上掲『父の仇に許された』は文公の時代後期より
→なた様よりのご提示を頂戴した。春秋左氏伝宣公二年の末尾とのことである。いわく「冬.趙盾為旄車之族.使屏季以其故族為公族大夫.」。用語そのものは登場せぬが、確かに趙盾によって大夫の血族の地位が引き上げられた、と語られておる。
晋・斉・魯の三国については、曽先之が意図的に「諸侯から臣下に権勢が下りていった」ことを強調しておる印象もある。ここについてはわかりやすい物語という感じで、一概に首肯しきるわけにも行かぬのだが、まぁそういった辺りについての検証をしたければ、それこそ最低でも史記左伝に当たるべきであろうな。そちらを読んでもなにひとつわからぬであろう予感もするのだが。
○
さて今回十八史略を再読するにあたり、史記の各世家と十八史略の各国記述の文字数をカウント、比較してみた。そして史記中における各国比率、十八史略における各国比率を算出。この両者を比較することで、史記を基準とした十八史略における重要度の変化を占ってみた。以下が結果の総覧である。各国についての感想についてはそれぞれの国のコメンタリーにて行おうと思う。
史記 史略 史記比 史略比 比率対
西周 4859 1095 4.36% 8.08% 185.23%
東周 2741 430 2.46% 3.17% 128.94%
秦 10458 2025 9.39% 14.95% 159.15%
吳 3657 337 3.28% 2.49% 75.74%
姜齊 7090 519 6.37% 3.83% 60.17%
魯 5722 673 5.14% 4.97% 96.67%
燕 2387 678 2.14% 5.00% 233.46%
蔡 1510 41 1.36% 0.30% 22.32%
曹 781 25 0.70% 0.18% 26.31%
陳 1806 56 1.62% 0.41% 25.49%
衛 3211 281 2.88% 2.07% 71.93%
宋 4126 211 3.71% 1.56% 42.03%
晉 12078 397 10.85% 2.93% 27.02%
楚 10568 602 9.49% 4.44% 46.82%
越 2462 90 2.21% 0.66% 30.05%
范蠡 1149 134 1.03% 0.99% 95.86%
鄭 4578 107 4.11% 0.79% 19.21%
趙 11316 2106 10.16% 15.55% 152.97%
魏 5245 1000 4.71% 7.38% 156.71%
韓 2362 334 2.12% 2.47% 116.23%
田斉 5644 1643 5.07% 12.13% 239.27%
孔子 7142 584 6.41% 4.31% 67.21%
老子 457 179 0.41% 1.32% 321.94%
合計111349 13547
と言うわけで、ここでは晋にのみ着目しよう。ひどい。いくら戦国時代の内容が各世家+列伝で構成されるぶん厚くなるとは言え、さすがに削られすぎではなかろうか。これはもしかして晋の文公が嫌いなのではなく、晋という国そのものが嫌いなのでは、と疑わずにもおれぬ。
もっとも、十八史略を読むとはいっても左伝については史記以上に読み込まれたことであろう。ならば春秋時代の各国については「左伝を読め」で簡略化されたのやもしれぬな。……いや、それだと姜斉の縮小率との差に説明がつかぬな。やはり晋初期の弑逆事件、分家筋の
考えてもみれば、晋は
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