5.天才への大いなる期待と、愚鈍なる無能への侮蔑

 「それ散る」発売の話からそんな話をするなと言われそうだが仕方ない。優れた才能や優れた作品と見比べると、どうしても至らない作品が汚らしいゴミか何かに見えてしまう。


 王雀孫は遅筆なので仕方ないにしても、状況さえ整うのであれば、他のライターによる新作の目があるかもしれない。自分が新作や新刊を楽しみにする作家・ライターのうちの二人。王雀孫と東ノ助。自分からすればまさに「片方でも味方に付ければ天下を取れる」とされた三国志演技の諸葛亮と龐統が両方いるような状態(両方を手中に収めた国がどうなったかは言わないお約束だ)と言っていい。


 その状態で、数年かけて出てくるのが「リメイク」というのが個人的には寂しい。しかしこれはNavelのせいではない。メーカーに一人いればよいレベルの才覚が二人いるという事実にすら気が付けない人間が平気な顔をしてプロフェッショナルの椅子にふんぞり返っていることが問題なのだ。


 何度でも言う。今のままでは日本の創作は確実に取り返しがつかないレベルで崩壊する。これは予想でも仮説でもない。単なる「事実」だ。その予兆は数年。下手をすれば十年前からずっと出続けていると言っていい。


 これをここで書いて何かが起こるとも思っていないし、はっきり言って今、日本の創作を楽しんでいる読者、視聴者の殆どには全く期待もしていない。どうせ何も起こせないし、大したものも作らない。数少ない天才以外は見る価値は無い。それが自分の認識だ。


 もし、ここまでこんな日記なのか愚痴なのかも分からない文章を読んだのであれば。そして、そんなことはない。本気で憂いているというのなら、事を起こしてほしい。それも出来ないのであれば、自分の背中を押していただきたい。最も、誰にでもかける、教科書にでも乗っていそうな言葉であれば特に気に留めることはしないだろうが。


 最後になるが、改めて「それ散る」は大いなる期待を持って買った。途中横道にそれるような形で言及した掃き溜めとは一切関係のない、汚れなき白鶴だ。


 「死角を作り出す形だから二回目は読める可能性がある」とは書いたが、それでも、その警戒心が強い状態の自分に死角を作り出し、一本取ってくれることを楽しみにしている。そして、その先に「天才が新たに作り出した完全新作となる名作」が存在することを切に願っている。

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名作のリメイクで改めて考える創作の現在地 蒼風 @soufu3414

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