深淵竜とカードと召喚者

第7話最終決戦(蹂躙戦) VSフェールニスト

ー浄聖神矢視点ー

今回の勝負は先に3回勝った方が勝ちになる。そういうルールになっている。つまりもう2回勝っている俺の方が有利なのだ。しかし俺と将の相性次第では負ける事もあるだろう。でもな、残念な事に今回持ってきている異形生物の残りってフェルしか居ないんだよ。

これ戦いから蹂躙戦になっちゃうんだよな。俺の勘もそう言っている。俺の勘はファイネルやフェルみたいに未来予知まで鍛えられたものじゃないけれども、当たる確率は結構高い。そんじゃあよろしく頼むぜ、フェル。

「召喚！深淵支配竜（アビス・ルーラー・ドラゴン）フェールニスト！」

俺がそう召喚すると通常のドラゴンよりも更に大きいドラゴンが降臨した。気づいてると思うがフェルは進化してある。大きさはさほど変わってないが、フェルの身体には鎧を纏っている。ちなみにだがこれは仮の形態だ。この鎧を壊された時に真なる形態が開放されるのだとか。

そしてこの鎧が壊される前に倒れるとかはないらしい。代わりに鎧が肩代わりしてくれるらしい。それは無敵では？と思ったのだが、例外もあって防御貫通や効果無効といった能力を持っていると普通に攻撃が通じるのだとか。ちなみにだがファルとファイネルはその話をする時に遠い目をしていた。そして倒すのに苦労したのだなと察する俺だった。

そして聞かれるだろう、闇の異形生物を使ってても大丈夫なのか？ってな。それは大丈夫だ、何故ならフェルは魂が光と闇で混沌としているので大体の人は中立として認識するみたいだ。バレた時はどうするのか聞いたのだが、その時は上にねじ伏せてもらえばいいとファイネルに言われた。ちなみにだが、フェルはえ？っていう顔をしていた。

ねぇ、この二人の性質やっぱり反対じゃないの？と思ったのは記憶に新しい。俺がそんな事を考えていると将は目には目を、歯に歯をのつもりなのか同じドラゴンの異形生物を召喚してきた。そうして3戦目のバトルがスタートしたのだ。フェルと(確かローゲニストだったはず)ドラゴンが手と手で押し合い始めた。

まぁお察しだと思うが被害が凄く大きい。そりゃあ進化する前から強力だったんだ、進化したらそりゃあやばくなるよね！ん？でも全然力を出してなくないか？アレはもしや相手のドラゴンが力の流し方を知らないだけか？俺がそう考えているとフェルは更に力を込めたのかローゲニストを押し始めている。

流石フェルだな。相手のドラゴンも結構強い筈なんだけど余裕そうにしている。そりゃあ今よりもさらに強い異形生物たちが蔓延る魔境に存在し、全てを己が創造した世界に閉じ込めただけはあるな。俺がフェルに対して関心をしているとローゲニストは尻尾でフェルに向かって攻撃をしてきた。

いきなりの攻撃で驚いたのか踏ん張りが効かなかったみたいだ。いや、違う！フェルは態と攻撃を受けて離れたんだ。俺がフェルに対してなるほど、と思いながら指示を出す。

「フェル、純天光線だ！」

俺がそういうとフェルは尻尾の形を変化させて真っ白な光線を発動させる。ローゲニストはその攻撃をまともに喰らってしまった。アレを喰らったんだ、結構なダメージになってるだろ。そしてフェールニストは相手がどんな状態なのか深淵眼と竜眼を使って調べている。

「フェル！樹神の呪縛！」

俺がそう言うとフェルは地面を殴ると殴った箇所から樹が生えてきた。そしてその樹は未だに煙が晴れず、ローゲニストがいるであろう場所に向かっていった。そして煙が晴れる頃にはローゲニストが捕まっていた。フェルはそれからローゲニストの方向に飛んでいき、殴ると絡まれていた樹は解けて吹っ飛んだ。

そしてフェルは更に飛んでいくとローゲニストの腹に口からの光線を放った。光線が終わるとドローンが俺の勝利を判決してくれる。出現した異形生物をカードに収めてから俺と将は握手を交わした。将はとても良い笑顔で『ありがとうな、神矢。更なる先を見る事ができた』と言ってきた。

え、ええ？結構怖いんだけど。自分を圧倒的な差を見せつけてから敗北させた男にありがとうなのか。俺は将に対して内心引きながら表面上は笑顔で『どういたしまして』とでも言っておく。そして帰ろうと振り返ると周りの観客が異常な者を見るような目でこちらをみていた。やめろ！俺は以上じゃないから！どっちかって言うと将の方だから！

俺はそんな事を内心考えながら表情には映さずに帰路を辿る。戦ってくれた異形生物には労わなきゃな。一体めんどくさいヤツがいるから。というかフェルって拗ねてる姿も可愛いんだよな。…………態と拗ねさせてみようかな。いや、やめとこ。拗ねさせたら抱き枕にできないじゃん。

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□深淵支配竜

本編でも説明したが、鎧が破られると真の姿が解放されて強化されるというぶっ壊れ形態。それでも弱点はあり、防御貫通や効果無効には弱い。けれどもそんな弱点形態であの魔境を生き残れるほど甘くないので弱点対策はしている。

補足:例えそういう能力を持った異形生物に出会っても鎧にはある程度の攻撃を無効化する効果が付与されている。そしてこれは全盛期時代のフェールニストが付与した物なのでそう簡単には破れない。