反魂コーヒー☕️
碧月 葉
反魂コーヒー
君の骨を並べて
沈香乳香焚いたなら
また会えるのかしら
嘆けど泣けず
幼子抱いて見上げた月は
冷たい光を放っていた
ある日見つけた細口ケトル
君が欲しがっていた黄色
僕は何かに背中押されて
そいつを手に取り豆を買う
久々のハンドドリップ
ああこれだ
群青色のマグカップの中には焦茶色の魔法
眠っていた感覚を一気に呼び起こす
キャラメル カラメル チョコレート
ワイン チェリーに ラズベリー
香り味わい多種多様
一杯のコーヒーが魅せる重層的な世界
缶コーヒーしか知らない僕に
君が教えてくれた世界
甘い香りは僕をくすぐり
君の魂が僕を撫でていく
僕は泣いて
笑った
あれからそうだな半世紀
再会する日は近づくけれど
その日がとても楽しみだけれど
もう少しだけ待っていて
願くばこの手に抱きたい
きっと可愛い僕たちのひ孫
群青色のカップにコーヒーを注ぐ
湯気からは明るい香り
まるで熟れたオレンジのよう
そうだね、君が好きそうだ
反魂コーヒー☕️ 碧月 葉 @momobeko
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