結び 目

固く結ばれた糸は

解くにも爪が曲がってしまう


そのまま溶けて一つになれば

幸せなのかなって


そんな気のせいな妄想が

解けることを忘れさせた


結び 目が見ていたのは

どちらか一方ではなくて


じっと重なりの陰の中で

互いにあることを

繋がりにあることを


結び 目が見ていたのは

見 定めていたのは


もともとは別々だったと

ひとつに成ったことを

当たり前だと思わないように


汚れれば朽ちて ぶつかれば燃えて

共に吹く風は冷たいだろうか


もともとは別々の一本が

脆く儚い結び目が


汚れを味わいと 焼け落ちぬ太さを

共に吹く風は暖かいだろうか


違うからこそ

見えぬからこそ


ただ 結び目きずなとして


当たり前を探して目を凝らす

 



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聞き上手な六角形【詩集】 つくも せんぺい @tukumo-senpei

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