私たちは今まで他の世界に転移および転生した者が主人公である場合に、好まれる対象を奴隷として購入することになった内容があれば、ほとんどその人間関係が肯定的に作用するようになる次元の話をたくさん読んだと思います。
しかし、この小説はそんなありふれたストーリーの内容とは違って、全く違う視点で主人と奴隷の関係、奴隷階級の社会的位置と制度を含む社会構造的差別について詳しく扱う考察の性格の内容が部分的に含まれており、それでも全体的に内容自体は難しいとは思わず、比較的読みやすいタイプのファンタジー小説です。
既存の異世界ファンタジー小説が追求する観点とは異なる設定と内容と視点に基づいて叙述される小説は、それ自体だけでも独創性と特色という次元で価値があるので、この小説を読んでみることをお勧めします。
あらすじもさることながら境遇が一発で理解できる見事なスタートでした。
丁寧な導入でありながらとても印象に残るのは、世界観の散りばめ方にあると思います。
さりげないキャラ紹介のはずが添えてある一言の説明でその場所に居る、ということがどういう意味を持っているのかを強烈に意識させてくれるからこそです!
また、序盤はお互いが異世界の人という認識のもとに会話が進行するわけですが、認識のズレという簡単な言葉では表せない根本的な意識の差が読んでいて胸を締め付けてきます・・・が、だからこそ・・・タイトルに希望が持てる素敵な作品です!
序盤は暗い物語に見えるかもしれません。ですが、暗闇でも本当に生きているようなキャラたちはとても光輝いて見え見失うことはありません!
そんな希望に向かって「何があっても前を向いて進んでいく」物語。前を向きたいあなたにお勧めしたい作品となります!