見果てぬ死なれば銷魂する生よ 彼の冥闇を明かす暁

 私の人生の配分は、現世的利益7割、来世的利益3割が基本です。

 これは信心深いからではなく、全く逆の不信心から来ていると自分では思っています。

「死んだら終わり」

「死んだら何もないんだからさ(以下、逆説)」

 私はこれを絶対的な何かへの信心だと感じるのですよね。人間のスキルで判ることは現状、肉体は滅する以上にないので、そこで自我が終われると信じることは一言で言えば、科学的でない、と思うのです。


 とはいえ確かなのは今、私が生きている筈の生。

 ですから、来世に備えて蓄えは心がけるけれども取り敢えず、現実優先。災害用に美味しいご飯を食べられる努力はするけれども、普段の食生活の栄養バランスの方が大事なのと同じ感覚です。

 死んだら終われる、と証明されていたら、これ程、人生を楽にしてくれるものも少ないでしょう。

 喘ぐように掴んだ死の先はより苦痛に満ちた闇かもしれない、この可能性を思いつけるから、人は知能を持ちながらも生きて行けているのだろうか、などと私は思います。


 ですから、私は異世界転生もの肯定派なのです。

 死んだ後に何もない、と信じているより現実と向き合っている発想と個人的には考えております。

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短歌・俳句を愉しむ秋! 短歌ノート 小余綾香 @koyurugi

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