第7話

貴族パワーで学園の入学の話はトントン拍子で進んだ。


そして俺はミリアのガードということで【魔法学園】への入学を許可された。


転入初日俺は自分のクラスに入って自己紹介を行うことになっていた。


「ルーク・サンダーランド」


本来の名前を言えば変にトラブルになる可能性があるからミリアたちがサンダーランドの名前を使っていいと言ってくれているのでこの名前を使わせてもらう。


「かっこい〜」

「転校生すごいかっこいいね!」


そんな声が聞こえる中俺は先生に指示をもらいミリアの横に座ることになった。


ガードというのはいついかなる時も主君を守る必要がある。


だから一番近い座席が与えられるわけだ。


そうしてとりあえずの一時間目の授業は終了した。


内容に関しては簡単すぎてあくびが出る。

俺は人生2週目だからっていうのがでかいんだろうけどさ。


それで椅子に座ってると俺の周りに人が来た。


転入生に話しかけたいあれなんだろうけど、でもすぐに波は引くことになる。

なぜかと言うとこいつの存在だ。


金色の髪をオールバックにしたいわゆる、ザ不良みたいなやつが俺の前に来たからだ。


「おい、ルークとか言ったなお前」


そう言って俺に話しかけてくる。


年寄りとしては意外と若者と話すのは楽しいので怪訝に扱わないようにしよう。


「どうした?小僧」


そう言ってみると男は吠えてきた。


「小僧?てめぇの方が小僧だろうが」


そう言って不良は名乗ってきた。


「俺は【神の子】トロイだ。知ってんだろ?神の子。神授から産まれてくる最強の子供だよ。お前ら一般出産組とは違う」


そう言って俺に手の甲を見せてきた。


そこに刻まれていたのは


「なんだ、【ハズレの紋章】じゃないか」


俺の生きた時代ではハズレとされている紋章がそこには刻まれていた。


俺の紋章がSSRだとしたらEランクくらいの紋章だ。


いわゆる、ないよりマシ程度の紋章。


しかしトロイは言った。


「なにがハズレだよ。てめぇみたいな自分のお絵描き紋章とはちげぇんだよ」


そう言って俺の手を掴んだ。

そして俺の手を上に持ち上げてクラスメイトたちに聞こえるようにトロイは言った。


「おい。見ろよみんな。こいつ紋章に憧れて自分でペインティングしてるぜ」


そう言ってるトロイに俺は言った。


「ペインティング?そんなことするわけないだろ。これは正真正銘本物の紋章。俺が生まれた時に授かった本物だ」


そう言ってみたけどクラスメイトたちは首をひねっていた。


「あんな紋章見たことある?」

「ないなー」


(どういうことだ?俺が子供の頃はこの紋章はどんな紋章よりも優れた紋章と言われていたのに)


それが何故ここまで知られていない。

知らないなんてことはありえない。


(いや、待てよ)


思い出した。


たしか、続編の世界ではこの紋章はたしか消えていたはずだ。


俺の今持つ【魔術師の紋章】は2の世界では発現しなくなっていた。


だからこいつら知らないんだ。

俺の紋章がどれだけ貴重なものなのか。


そして、どれだけ当たりと言われたのか。


(老害になってしまうかもしれんがこのまま偽物と言われ続けるのもしゃくだ)


俺はそう言って立ち上がりトロイに見せつける。


俺の紋章を。


「これは【魔術師の紋章】という。かつて最強の紋章と言われたものだ」


そう言い返すとドッと笑いだしたトロイ。


「おいおい、聞いたかよお前ら!この落書き紋章が最強だってよwww」


ゲラゲラ笑ってからトロイは言った。


「お前紋章のこと馬鹿にしたよな?お前の落書き紋章が最強だと?この俺神の子が持つ紋章こそが最強に決まっている」


ビシッ。


俺に人差し指を向けてトロイは言った。


「それをたっぷりと教えこんでやるも落書き紋章」

「はは、ははははは……」


笑った。

笑ってしまった。


この俺に……かつて世界を救った人間に何を教えると言うのだろう?


もう、教わることなんてないんだが。


「この俺に何を教えるつもりだ?小僧」

「こ、小僧?」


プルプル震えてトロイはこう言った。


「てめぇ!ルーク!放課後俺はお前に決闘を申し込む!サンダーランドのガードがなんだ?てめぇの澄まし顔崩して泣かせてやんよ!」


そう言って席に戻って行った。


「おい、なんだかやべぇことになったな」

「トロイくん入学以来不敗なんでしょ?」

「いきなり目付けられてかわいそー」


ゾロゾロ。


そんなことを言いながら他の生徒も戻って行った。


俺も席に着くと隣にいたミリアが口を開いた。


「ご、ごめんなさい。何も言えなくて」


ギュッと手を握ってるだけのミリア。


「私あの人にいじめられてて、それでごめんなさい」


どうやらそれが怖くて何も言えなかったようだが。


俺はミリアの頭に手を置いて撫でた。


「ワシに任せておけ」

「ワシ?」

「あっ、いや。俺に任せておくがいい」


最近の若者の礼儀を正してやろう。


年長者を敬えと言うつもりは無いが、英雄は敬う物じゃぞ?小僧。


この世界を誰が救ったのか、教えてやろう。


その体にたっぷりとな。


ふぉっふぉっふぉ。



そして、時は流れ放課後になった。


俺はトロイに言われた通りグラウンドに来ていた。


ここで決闘が行われるのだが。


その前にトロイは叫んだ。


「フィールドオープン!」


叫ぶとズアッ!と鳥籠のようなフェンスが出てきた。


そして俺とトロイはその鳥籠のようなもののなかに閉じ込められた。


原作をやった俺なら分かるが、この籠の中では一種のセーフ装置が作動していて致命傷を与えても死なないようになっているのだ。


(自らワシのリミッターを外すようなことをしおって)


ならば全力で叩きのめすのみ。


「いいだろう。少しばかり本気を出してやろう」

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悪役転生して60年破滅を回避して世界を救ったワシは隠居してたけど、彼女が欲しいから若返って学園に通うことにしたが、周りが弱すぎて草生える。これだから最近の若者は。やれやれこの世界の未来が心配じゃわい にこん @nicon

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