仮象
鳴蛇村
この村の神社に保管されているの古文書によると、江戸の半ば頃からその地域には「蛇」が出没するようになったという。「蛇」は主に女性の姿をとって現れるが、背格好や見かけの年齢は目撃される度に異なる。唯一全ての目撃事例に共通しているのは鱗紋と呼ばれる柄の着物を着ていることである。単独もしくはごく少人数で山に入った人間の前に現れ、食べ物を持っていないか、と問いかけてくるそうだ。何かしら持っていた場合はそれらを差し出すことで見逃してもらえるが、何も持っていないと自分が喰われてしまうらしい。人を喰う時には大きく口を開けて丸呑みにすることから「蛇」と呼ばれるようになったとのことだ。今日目撃情報はほとんど無くなったが、被害者たちの供養を兼ねて村では毎年「蛇」を鎮めるための儀式が行われている。
(叢鬼灯氏のブログ『全国因習村図鑑』より抜粋)
いみもの 雨宮照葉 @snowyowls
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