刺激
瑠璃の虫は目覚めた。
見渡す限り木々が生い茂る。
瑠璃の虫には三対の脚と、短いながらも丈夫そうな一対の大顎、
背には硬い甲殻に覆われた薄い翅がついている。
早速といわんばかりに、一方を見つめ進みだす。
顎針の虫を打倒するにふさわしい秘策があらんとばかりに。
一定のラインを超えたあたりだろうか。やはりというか…あれ?
静寂だ、鬱陶しい羽音は一つも聞こえず。
瑠璃の虫が進路を変更し進みゆく。
またしても顎針の虫の巣にたどり着いた。
前回よりも少しばかり大きくなっている気がするが...誤差だろう。
あたりには、警戒のためか、顎針の虫が飛んでいる。
しかし、どの顎針の虫も瑠璃の虫には興味がないのか、何もしてこない。
瑠璃の虫は堂々と薄翅を広げ巣へと向かう。
瑠璃の虫が巣に着地してもなお、顎針の虫が襲い来る気配はない。
大顎で巣を強引に破壊し、中へと侵入する。
中には大量の部屋があり、その、一つ一つに白いブヨブヨとした生き物が入っている。
小さな顎をカチカチとならし、餌をねだっている様子が見て取れる。
そんなものは関係なしと、いわんばかりに瑠璃の虫は中心へと進む。
中心には大量の卵の詰まった部屋と、それを運ぶ顎針の虫。
そして、腹の大きな、それはそれはとてつもない大きさの、顎針の虫がいた。
瑠璃の虫は奴こそが顎針の虫の根元であり源流であるとわかっているかの様子。
首めがけて突撃し、大顎を使い、源流の首を切断した。
その瞬間、多くの顎針の虫に囲まれ、ぐちゃぐちゃにされ、一瞬で絶命した。
煮え切らない勝利だ。
その愚者は瑠璃色に輝く のすのすけ @nosunosuke0
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。その愚者は瑠璃色に輝くの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます