番外編
「せっんぱーい、待ちましたか⁈」
はっはっはっ、と犬が興奮している時に聞こえてきそうな感じで私に近寄ってきた。
今日は、デートである。
付き合って初めてのデートだ。
私だっていつもは着ないようなスカートを着て浮かれている。
けれど、太陽くんはそれ以上に浮かれているみたいだ。
私を見た瞬間に駆け寄ってくるほどだものな。
「おはよう太陽くん。今日はどこに行くんだい?」
「舞香先輩の行きたいところに……と言いたいところですが、カフェに行きましょ!」
「そ、そう」
私のこと今まで先輩って呼んでたのに急に名前に先輩つけて呼んでくるから驚いた。
急な行動には驚いてしまう。
太陽くんはいつも急な行動だからなあ。
そうして私たちはカフェに行った。
可愛い内装のカフェだ。太陽くんとまだ付き合っていない時に行ったカフェよりも可愛いかもしれない。
「この場所見た時から絶対連れてきたかったんです!」
「なんで?私には似合わないと思うんだけど」
「舞香先輩は自分で思っているより可愛いものが似合いますし、先輩自体が可愛いんですよ。って、これ前も言いましたね」
恥ずかしげもなく真っ直ぐとした目で伝えてくるものだから、私の顔が赤くなってしまう。
「あ、ありがとう」
「俺は思ってること言っただけですよ。舞香先輩はなに食べますか?」
「私は苺のショートケーキがいいな」
「じゃあ注文しましょう」
太陽くんが注文してくれて少し経った頃注文したものがきた。
美味しそうなケーキと、飲み物は紅茶だ。
私は甘いものが好きでよく食べているのだが、イメージと違うと言われるから人には言わないようにしている。
お出かけした時にも言っていないから彼がそんなことを知るはずもないのだけれど、そういうところが嬉しくなるんだ。
「少しいりますか?」
「いいの?」
「はい。あー」
まさかこんなシチュエーションがくると思っていなかった。カップルがよくしていることを私がすることになるだなんて。
でも太陽くんがすごく期待しているみたいだし……
「ん……美味しいね」
「えへへ、良かったです!」
本当、笑顔が眩しい。
私のことを考えて行動してくれるところを見て、私はまた少しずつ好きになっていってる。まだ知らないことも沢山あるんだけどなあ。一つ一つ知っていけたらいいかな。
「ごちそうさまでした」
「美味しかったですね〜先輩、出ましょうか」
私は先を立って太陽くんについていった。会計は割り勘かなと思っていたのだけれど、太陽くんが全部出してくれたのだ。
「私出すよ?」
「いいんですよ。でも……また次に来た時は先輩で」
「う、うん」
こうやって次の約束を取り付けるのか。
なんかやけにスマートでは?
これは店を出てから聞いてみるか。
「ねぇ、太陽くんって彼女いたよね?」
「えっ?いませんよ?先輩好きになって一筋ですから!」
「その前は?」
「その前もいませんって!ただ、舞香先輩を喜ばせたくって色々調べてただけですから」
「ふーん?」
信じられないけれど、一応信じてあげよう。
彼がそう言うのだから、私のことを好きだという気持ちが真っ直ぐ伝わってくるから。
これからも一緒に沢山笑っていたいなって思えるんだ。
少しずつ彼との気持ちが近づいてきてるんだって思うからね……
私の隣の子は可愛い 紫吹 橙 @HLnAu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の隣の子は可愛いの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます