最終回 今度は私から

 私は答えが決まった次の日に、太陽くんを呼び出した。

 まだかなと待っていた時—


「先輩!」

 

 と、声がした。


「太陽くん、来てくれたんだ」

「先輩に呼ばれて来ないわけないじゃないですか!あの、答え決まったってことですよね?」

「うん、そうだよ」


 私は微笑んだ。

 そして、深呼吸をしてから彼の顔をまっすぐ見た。


「太陽くん。好きだよ」

「えっ?」

「君がくれる分の愛情を返せるかは、まだ分からない。けれど、こんな私で良かったら付き合ってください」


 私がそう言うと、彼は固まった。


「あの、太陽くん?」

「本当に、僕で良いんですか?」

「それは、私の台詞だよ。私で良いの?」

「もちろんです!」


 彼は私に勢いよく飛び込んできた。


「わっ、ととっ」


 私は彼を受け止めた。


「先輩、これからよろしくお願いします!」

「うん。こちらこそ」

「絶対離しませんからね」


 彼はいつもと違い、低い声で言った。

 もしかしたら私は……

 とてつもなくカッコいい狼に捕まってしまったのかもしれません—

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