おんぶの夢
昨夜あなたの夢を見ました。
あなたが逝ってから、あなたが夢に出てきたのは2回目です。
1回目の夢は、あなたが逝って10日目ごろにみました。そして目覚めた時には現実と夢の出来事の境がわからず、やはり夢だとわかった時には涙が止まりせんでした。
でも昨夜あなたを夢にみて目覚めた朝はきちんと目覚め「おかしな夢を見たなぁ」と思っただけでした。
夢の中であなたはリビングに横たわっていました。私も弟たちもお父さんも、あなたが死んでいるのを知っていました。
みんなあなたの周りでゴロゴロとくつろいでいました。
「そろそろR君を2階の部屋に寝かせてあげなきゃ。運んであげて」
と私が言うと父も弟たちも「そおやなぁ」とあなたを見つめました。
その時、あなたの腕がかすかに動いたのです。
「え?あれ?動いた?死んでから何日も経ってるのに?」
と私が言うと、突然あなたの眼が開きました。そしてあなたは「うーん…」と伸びをしたのです。
「へ…?…え…?」と戸惑いつつ
「Rくん…あなた死んでるよね…」
と言うとあなたは「うん」とニッコリ答え、また眼を閉じました。
「それじゃあ、2階に運ぼうか…」
お父さんがあなたの両腕の手首を掴んで引っ張り上げようとしましたが、上がりません。
「いたいって〜!!!」
あなたは再び眼をあけて叫びました。
「そっか、腕ひっぱったら痛いよねぇ。どおしよう?おんぶかな?おんぶがいいかな?」
と私が言うと、あなたは「うん!おんぶがいい」と言いました。それでお父さんはあなたを背中におぶって階段を上がり始めました。
私はその姿を見ながら思いました。
R君は、もっともっとおんぶをしてほしかったのかなぁ。小さな頃からずっとおんぶをしてほしいと思っていたのかなぁと。
そして眼がさめたのです。
自身を殺した長男へ 環 @yadatamared8304
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。自身を殺した長男への最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます