第3話

あれから、どれほど経ったのだろう。


少女は、あのツリーハウスでずっと涙を流していた。

きっと泣いていれば少年が帰ってきてくれると思っているのだ。

〖エデン〗には時間という概念が無い。

朝も来なければ夜も来ない。


ずっと1人の時間を過ごして少女はやっと決心した。


〘少年を追う〙と。


少女は僅かな希望である少年を追うために彼が消えていった赤の扉のドアノブに手を掛けた。

もう消えかけていたそれは容易に開けることが出来たが扉の先は何も見えない闇であった。

今まで〖白い光〗の中で生きてきた少女にとって闇とは未知の物であり恐怖を感じる物。


しかし少女は足を踏み入れる。

そこは、酷く寒い場所で真っ暗で希望など全く感じられない領域となっていた。

今まで暖かい〖エデン〗で暮らしてきた彼女にとって寒さというのも未知の物であった。


ふと見上げると虹色のカーテンのようなものが天から垂れ下がって居るではないか。

それも、まるで雨のように。



厳しい環境下であるからこそ美しい物がある、そんな事を教えてくれるような物であった。





その〖オーロラの雨〗は最後に少年が少女に見せた慈しむ笑顔を連想させる〖エデン〗の中で見た、どの鉱物よりも美しい物であった。

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オーロラの雨 十六夜 水明 @chinoki

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