歌手の夢をもつ、耳が聞こえない少女【音葉(おとは)】さん。
音楽の可能性を身体中で感じ取って、彼女の夢が叶うその日まで、【湊(みなと)】くんの手話という心の言葉にのせて紡がれる掌編です。
ハンディキャップを乗り越えるには、健常者の常識をはるかに超える勇気や覚悟が必要だと思います。
純粋な強い心で思うだけでは成し遂げられない夢――その思いとともに行動してこそ、道は拓ける……湊くんはそう思って彼女をコンサートへ誘ったのだと個人的に推しはかります。
演奏は物語――音楽は音の葉となって心へ収束し、結実していく……そこで得られた聴覚を超えた感動があったからこそ、彼女にとって、私たちにとって、清々しい未来を覚えるのではないでしょうか。