04 遂に着いたよ 玉置神社

 ガイドさんとツアー参加者がバスに戻ってきた。それから、ふたたび昼食会場だったホテルに戻ってトイレ休憩を取る。ガイドさんとは、そこで別れた。

 雨の強さは相変わらず。そこから40分ほどで神社の駐車場に着くらしい。倒木や土砂崩れに見舞われなかったらいいなあ……そんな一抹の不安を吹き飛ばしてくれるかのように、手練れた運転手さんはブンブンとバスを走らせてくださる。

 そんななか、なんとか到着しました!

 やっぱり雨は止まなかった……呼んでくれたのはいいが歓迎されていないのか、などと穿った見方をしてはいけない。ここまでの秘境に来れただけでも凄いことなのだ。ほんとに秘境、まじまんじ秘境(しつこい)。

 なんせ玉置神社。

 標高1076メートルの場所に位置する。熊野三山の奥の院。呼ばれていないと辿りつけないという噂(同様に「呼ばれていないと云々」クチコミは天川神社にもある。天川さんのほうが絶対に行きやすい、断言する)。玉置山には野生の熊が生息しているので参詣の際には要注意。こえーよ!

 でも、ようやく来れたことに感動しちゃってるもんだから。激しい雨が降っていても、まあ……そんなこと気にしてませんよ全然まったく。参加者全員が、どことなく安堵の表情を浮かべてる。

 一の鳥居をくぐった瞬間、空気がザッとつめたく変わりました。高鴨神社をはじめて参詣したときよりも「つめたい」と感じましたよ!

 雨足は、ちょっとだけ弱まった。でもね、眼鏡とマスクと傘の最強コラボで蒸し暑さのほうがまさるの! びっくりだよ! 

 さすがに道中で、眼鏡をポケットの中に入れました。とほほ、だけど。だいぶ負担が軽くなったような気がする。

 駐車場から、またまた歩く。余談になるが玉置神社に、春風亭一朝先生も来られたらしい。一之輔さんの、お師匠さまだよ! 一朝先生が参詣した玉置神社を、自分も参詣できる幸せに浸ってしまった。

 添乗員さんは「先に本殿に行って、それから玉石社に」と仰っていた。歩きの効率を考えたら山のルート的にも、最後に全員が駐車場へと集合できる。本殿の下方には社務所があって、御守や御朱印も授与していただける。御朱印帖を持って行ってよかったー!

 本殿に手を合わせる前は、ご祈念ことを様々に考えていたのだが。なんということでしょう。あまりの疲労のせいか(汗)、雨の中でご祈念したいことメモを取り出すのも面倒くさくなってしまった。ある意味、それでよかったのかもしれない。ホントに希望していることだけに、向かい合うことができたので。

 玉置神社には有名な樹齢3000年とも呼ばれる神代杉などもある。針葉樹スキーな自分には発狂しそうなくらいに、わさわさ生えている(不謹慎な言い方だが)。けれども降りやまない雨の中、砂利道を踏みしめて歩くのが精一杯。周りを見渡して景色を味わう余裕がまったくありませんでした。非常に、もったいない……。

 参道を歩いた感じは、似ているところで。鞍馬神社の魔王殿から貴船神社へと降りていく“膝が笑う”あれ。あれに、そっくり。こんな不便なところで修行すんなや義経弁慶、と文句いいたくなるくらいのアレ。

 その感じは本殿よりもはるか上方にある玉石社を目指す途中で、更に強くなった。修験道の開祖である役小角さまに縁あるところなので、後世の人間、しかも凡夫である我々は受け入れるのみ。なんてったって修験道、厳しいのが当然。

 実際にツアー参加者のうちの二人組だった老夫婦、特に嫁さまのほうが色々と理由を付けて途中でリタイア。

 あらためて玉石社についてWikipediaより引用。

「『玉置山縁起』をはじめとする社伝は、玉置山山頂近くに露頭する玉石を神体とする末社玉石社を玉置の称の由来とし、地主神または奥の院と位置づけており、山容を神奈備として崇拝することが起源であったと考えられている」

 また、要出典という但し書きはありますが。

 神武天皇が神武東征の折、この石の上に神宝を置いて勝利を祈ったとされる。また役行者が竜王の脳から出た宝珠を、あるいは弘法大師(空海)が自分の宝珠を、この玉石群の下に埋め祀ったといわれている。

 これがねー!

 youtubeや他ネットで「玉置神社に参詣したら、まずは玉石社に行く“べき”」などという情報に惑わされてはいけません。ほんっと、凄いです。なにが凄いって! 

 もはやハードル高めの登山です! 登山!

 急勾配の短めスパンの九十九折りつづらおりが永久に続く。道の半ばで挫折する老夫婦ヨメは間違っていない。登山しつつ社を目指す感じは、神戸市東灘区にある保久良ほくら神社を思い出す。あの神社もコンクリ道だけど急勾配の九十九折りの登山をしている途中で「わたしは参詣したいのであって登山に来たわけではないですよぅ」と思っちゃうんだよね。実際に保久良神社は山道途中でブロック塀に手をついてハアハア言っている男性がいらした。登山者同士は道中で、登り降りの行き交う際に

「こんにちは」

 と声を掛け合う。そんな挨拶の掛け合いが、本殿から玉石社まで行く途中に何度もあった。

 それと、なんとなくだけど。ツアー参加者同士で、玉石社めざして登る途中で励まし合ったりしていたりなんかする。先に行っていた美人さんが「もうちょっとですよ。それと玉石社よりも上に、もうひとつ小さな社がありますよ!」と言ってくださった。玉石社で限界でした……。

 本当は、そこよりも更に上をめざせば玉置山頂に着くのは知っていたが。山頂まで行ける気力がなかったのがくやしい。

 降りてから社務所で御朱印と、お財布に入れる御守も授与していただけた。

 さて下山というとき。添乗員さんから地図で示されたルートを歩く行程があまりにも激しく(激しい、以外に形容する言葉が見当たらない)、心臓が破けそうになった。

 駐車場に着いたときは集合時間の10分前。

 呼吸を整えながら「つめたいお茶が飲みたいな」って。自販機を見ると500mlペットボトルお茶が200円だった、ボウリング場の価格かー。平地なら160円なんだが、それはそれでネタになります!

 初参詣は終始、雨の思い出。玉置神社さま。でもでも、良い記憶になりました。

 復路の途中で購入した柿の葉寿司をバスの中でいただいたけれども、美味しかったなー。

 新大阪ついたらついたで、雷ぴかぴか……。季節の変わり目を玉置神社で体感できたと思うことにしよう!


 追記:

 近々、石上神宮に行きたい……と。これを書きながら思ったりしました。

 物部氏に縁が深い、古い創建の神社です。

 毛並みツヤツヤの鶏が多く放し飼いされておりまして。あちこちに雄叫びが響き渡る、のんびりした素敵なところです。



                         (了)














 

 

 


 

 



 

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玉置神社に参詣できました 優美香 @yumika75

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