恐怖! 妖怪『文字消し』

無月弟(無月蒼)

恐怖! 妖怪『文字消し』

 皆さんは、執筆経験はおありですか?

 このエッセイを読んでいるのはカクヨム作家さんが大半でしょうから、執筆経験がある人という人は多いでしょう。


 自分も毎日のように文章は書いていますけど、大抵はパソコンでなくスマホで執筆しています。

 そっちの方が手軽に書けて、隙間時間に進めることができますから。


 しかし今月の始め頃、事件が起こりました。

 その日もいつものように、スマホをポチポチやりながら執筆を進めていました。

 自分の場合、スマホのメールに文章を書いていて、ある程度書き進めたら自宅のパソコンに送信するようにしているのです。

 こうすれば後でパソコンの方でも、送られてきたメールに書かれていた文章をコピーして保存することができますから。


 そして、この時メールに書かれていた文章は1万文字を超えていました。

 もう少し書いて区切りがついたら送信しよう。そう思っていたのですが……。

 スッと指を動かした直後、それは起こりました。


 何とそれまで書いていた全ての文字が、一瞬にして消してしまったのです。


 ──!?

 何が起こった!?


 あんなにたくさん文字が書かれていたのに、画面はすっかり真っ白に。

 いったんメールを閉じて入り直してみても、文章は消えたままです。

 そして自分は悟りました。3日ほど掛けて書いた1万文字を超える文章が、全部失われてしまったことを。


 この時はもう、頭を抱えました。目の前が真っ暗になって、心が折れそうでしたね。

 どうしてもっと早く送信しておかなかったのかと後悔しましたけど、後の祭りです。


 そして失った文章は内容は覚えていても、全く同じものなど書けるはずがありません。

 こんな風に消えたものを書き直して、前の方が良かったのではと思った経験、皆様もあるのではないでしょうか?


 とは言え、書き直す以外に道はなかったのですけどね。

 その後は文章を失った反動で、かえって執筆のスイッチが入ったのか、丸一日掛けて消えてしまった1万数千文字を復元しました。

 もちろん細部は異なっていて、納得いくかどうかは分かりませんけど、1日で1万文字以上を書くというのは自分にとって未知の領域だったので、最後は疲れはてていてそんなことを気にする余裕もありませんでした。


 そしてこの日以来執筆速度が目に見えて早くなって、結果以前よりだいぶ執筆ペースが上がりました。

 調べてみたら途中1万文字が消えたにも関わらず、1ヶ月で15万文字書いているではないですか。今まではせいぜい、1ヶ月で書けて10万文字ちょいだったのに。

 ただ執筆速度は上がったものの、一度書いた文章が消えたのはやはりショックでしたから。できればこんなパワーアップは、したくなかったですね。


 そしてどういうわけかこの出来事以降度々、自分と同じように執筆中の文章が消えたと言う声を、頻繁に聞くようになったのです。

 ただ一口に文章が消えると言っても、そのパターンはバラバラでした。

 例えば。


①保存したはずなのに、何故かできていなかった。


②間違ってドラックかけた状態でデリートしてしまった。


③クラウド保存しているデータの名前を変えようとしたら、間違って削除を押してしまった。


 等々。

 一番衝撃だったのは、2ヶ月掛けて書いていた小説の保存データがまるごと消えてしまったと言う話。

 2ヶ月ですよ2ヶ月! 自分なら発狂するかもしれません。この話を聞いた時は、他人事であるにも関わらず悲鳴を上げそうになりました。


 しかしどうしてこんなことが頻繁に起こっているのでしょう?

 もしやこれは文字を消してしまう、妖怪『文字消し』の仕業なのかも?

 なんて極悪非道な妖怪なんだー!


 この文字が消えてしまう恐怖、物書きなら分かりますよね?


 更に言うと、自分はさっき挙げた1万文字消失の後も度々、同じように全文章が消えてしまうという出来事が起きていました。

 最初の惨劇の後は小まめに保存するクセをつけたので大事故は防がれていますけど、それでも起きたら面倒。


 いったい何が原因か最初は分からなかったのですが、調べていくうちにどうやら自分のスマホのキーボードが元凶であることがわかりました。


 キーボードに、こんな形をしたデリートキーってあるじゃないですか⬅️。

 実はこれを左方向にフリック入力すると、全ての文字が消える『全消し』になってしまうのですよ。

 これを知らないうちにやってしまっていたみたいなのです。


 しかし今まではそんなミスしなかったのに、なぜ急に頻繁に起こり始めたのかは謎ですね。

 もしかしたら知らないうちにキーボードが、アップデートされたのかもしれません。

 もしそうだとしたら、なんという余計なことを。

 全消しなんて使う機会無いですし、どうしても消したい場合は他の手段を使いますよ。


 もしかしたら妖怪『文字消し』が、キーボードにイタズラをしたのかも?


 そんなわけで困っていたのですが、先日良いアドバイスをもらいました。

 それはスマホで執筆しているなら、執筆に適したアプリを取れば良いのではというもの。


 なるほど、その手があったかと思って、どんなアプリがあるかTwitterで情報を集めました。

 それによると、皆さん執筆に使っているアプリって結構バラバラなのですね。

 そんな中自分が選んだのは、『Google docs』というアプリでした。


 書いたデータのバックアップが一文字ごとに取られる為、保存し忘れの心配がありません。

 そして間違えて全消しをしてしまっても、履歴を遡って元に戻せる機能もあるので一番問題だった全消し対策もバッチリです。消えてしまったらすぐに履歴を遡れば、元通りになるわけですから。

 現にこのアプリを使った後も間違えて全消しをしたことが何度かありますけど、いずれもすぐに復元できました。


 最初は不慣れなアプリに戸惑っていましたけど、せっかく書いた文章を失わず安心して執筆を続けていけるので、取って良かったと思っています。


 他にもバックアップを複数の箇所に取るなどして妖怪『文字消し』に対抗しつつ、これからも執筆を続けていきたいですね。


 皆さんはデータを守るためにやっている工夫って、ありますか?

 対策を立てて、文字消しと戦いましょう!

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恐怖! 妖怪『文字消し』 無月弟(無月蒼) @mutukitukuyomi

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