第84話 天使

その途轍もない恐怖感を感じた瞬間に私はどこか別の場所に転移していて、周囲には他のプレイヤーが多数いた。そこにいる皆の魔力量やスキルは分からないが、それでも今の私より遥かに格上だと言う事は理解できる。そのまま私はそっと息を殺していたが、次の瞬間に正に光の権化とも言わんばかりの眩い光を放つ女性型の天使と思われる女性が居た。


「遥か彼方より御機嫌よう私はアマリリス貴方達を導く天使だ。

君たちはまだ弱く脆弱であるがその身を作りし神々の代弁者として誓おう君たちは強くなる...とね。君たちには今日は戦い自らの力をより高めて欲しい時刻は今より30分後君たちの努力を神々は見ている」


そう言ってからまるで煙の如くに儚い姿を思わせながら消えていく天使は最後に私を見た。次の瞬間私の意識は光に飲まれて次の瞬間にはまた別の場所に転移して来た。だが様子が可笑しい視界に入った手を見てみると黒さんを思わせる暗黒が手と言わず全身に纏わりついていた。


「今日の大会を神々は見ている。君たちの全力の戦闘が見たいと神々は仰った。故にそのような禍々しき力に飲まれ力を出せないでいる姿をこの私アマリリスは認めん」


そう彼女が言った途端にこの身を侵食していた暗黒は取り除かれスキルを全力で扱えるようになっていた。そして驚いたことにスキルレベルが幾つも上がっているのだ。これはスキルの破損中に稼いだ熟練度が反映されたのだと思いながら彼女の方を見る。そこには暗黒で侵食されていた彼女が居た。


「この日を神々は心待ちにしていた。この世界を救うべく生まれし英雄の誕生…悪逆なる英雄神の御子その身を侵食せし魔の理を我が身を贄とすることで彼の御子に全力を出させる事が出来るとはこの私…アマリリスは幸せであった。」


そう彼女は言い残しながら先ほどのような煙を思わせる様な消え方の所々に闇を出しながら彼女は消えかけていった。


「私は彼女の事を知らない。悪逆なる神を知らない。黒き魔を知らない…だが少し不愉快だな」


《新しく戦闘スキル<怒Lv1>を習得しました》


そう言いながら消えゆくアマリリスを魔眼が捉えた。魔眼のスキルに進化してから魔力以外の物も少しだけ見えるようになりその機能を今ここで使ってみようかと思った。


自分の右手に全力で魔力を込めて彼女の体の中心地で光り輝くモノを掴もうとする。そうした途端に肉体が焼け落ちるのでは無いかと思う程に苛烈な痛みが俺を襲った。その痛みによって俺のスキルが幾つもレベルアップしたりとその痛みは激痛の域を超えていた。


《耐性スキル<神聖脆弱Lv10>が<神聖脆弱Lv6>に下降しました》

《新しく耐性スキル<痛覚耐性Lv7>を習得しました》

《耐性スキル<火炎耐性Lv1>が<火炎耐性Lv8>に上昇しました》

《条件を達成しました魔法スキル<魔力精密操作Lv3>と<体外魔力操作Lv4>が魔法スキル<魔力掌握Lv1>に統合されました》


それからも身を焼く激痛との戦いは俺を蝕んでいくがこの目の前のアマリリスと言う名の天使は私を助けたならば私はそれの恩を返さないといけない故に私は貴方の滅びを諦めん


《新しく汎用スキル<魂視Lv1>を習得しました》


だが彼女を助けるには一歩及ばず私は弾き出されてしまった。その先に私はただただ後悔に明け暮れた。その上彼女を助けようとした事により右手の部分は完全に焼け焦げてしまった上に微妙に火炎が纏わりついていた。それ自体はダメージになっていないが右手での魔法陣作成に支障をきたす程に魔力回路が焼け焦げていた。


「彼女には悪い事をしたなだけどこの負傷を後悔したくは無いなぁ」


そう後悔を口に出しながら時間を待っていると先ほどの様な荘厳なる雰囲気を纏った天使とは違ってスーツに身を包んだいかにも人間と言う姿で現れて、私の破損状態を治してくれた天使を貶める様な、良く言えば現実感がある悪く言うなら...いや本音を言うならこの場に相応しくないモノといった感情が渦巻いている。


《戦闘スキル<怒Lv1>が<怒Lv2>に上昇しました》


「あ~あっマイクテストマイクテスト、はい大丈夫そうですね。

私は今日のイベントの進行役で御座います。

さて先ほどの私たちからの雰囲気作りの為の天使からある程度の説明はされたでしょうし省きましょうかね。」


「先輩少し時間がまだまだ残っていますけどどういたしますか?」


「えぇそうだなぁあっそうだ先ほどの彼女は良く出来ているでしょう?我らとしてもかなり良い出来栄えと思います。それで彼女の雰囲気作りは楽しんでいただけたでしょうか?」


「不愉快だ」


私はそう断じると血液槍(ラドズラド)を奴らに向かって常時発動している怪力に加えて投擲と貫通を含んだ攻撃を奴らに叩き込むが、その前に霧散してしまった。まぁこれは予測済みだ所詮一プレイヤーの力だったら効かないだろうなと思いながら鑑定も発動したら驚きの事実が目の前に飛び込んできた。


名前 壹岐鉄也

種族 上位天使


スキル

固有スキル

管理者権限(最下位・制限)

種族スキル

天翼Lv10.光輪Lv10

戦闘スキル

体術Lv10.聖体術Lv5.体力回復Lv10.体力超回復Lv3.再生Lv10.超速再生Lv3.剣術Lv7.回避Lv10.気配感知Lv6.未来視Lv2.

汎用スキル

観察Lv10.鑑定Lv10.認識拡大Lv3.集中Lv10.思考加速Lv7.並列思考Lv5.演算処理Lv10.高速演算Lv3.並列演算Lv4.言語学Lv10.予測Lv10.予見Lv10

強化スキル

肉体強化Lv10.腕力強化Lv10.脚力強化Lv5.魔力強化Lv10.魔力超強化Lv10.体力強化Lv8.肉体硬化Lv6怪力Lv10.剛力Lv4

魔法スキル

魔眼Lv5.魔力掌握Lv4.結界魔法Lv10.火炎魔法Lv10.神炎魔法Lv2

耐性スキル

暗黒耐性Lv10.痛覚耐性Lv10.火炎耐性Lv10.魔性耐性Lv10


流石にバレたのか一瞬だけ睨まれて様な気がしたが直ぐに気のせいだったのかそこらを向いたから、単純に攻撃を叩き込んだ奴を探していただけなのかもしれないそして、それは他のプレイヤーも同じで攻撃を叩き込んだ私を探している様だった。


だが幸いにも隠密を発動していたから見つかる事は免れたが、運営と言っても一プレイヤーと同じなのかと思いながら彼の天使擬きの次の行動を探る事にした。


「いやぁまさかこんな感じで攻撃を叩き込まれるとは思いませんでしたよでもまぁ流石に運営ですからね。一プレイヤーに敗北なんて事にはなりませんからね安心して下さい」


此奴は確かに強く本気を出したら今の私なんか軽く捻る位に強いのだろうが、それでも常識的な強さをしていた。見て話を聞くだけで震えが止まらず、少しの会話を下だけで全身が凍り付きスキルが軒並み破損する様な化物とは違った。今の私なら戦力差を考えて、10対0で負けるがそれでも何とか戦闘自体は出来そうなイメージが沸いた。そして運営と言えど決して全能ではないと考えさせられる。


と言うか運営権限が最下位&謎の制限?のあれって何だろうか


そう考えていると遂に大会の本番が始まり俺らは一斉に転移した。


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<更新停止>Ground World Online ~世界に轟く吸血鬼の怨嗟~ 半目真鱈 @yugudorasiru

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