第4章 公式大会
第83話 破損
目の前の黒が何かを言うたびに私の中に蓄積していく恐怖は限界を知らずに私を蝕んでいく。
「この程度でもダメか?お前弱いな」
ヒュッと息が漏れる目の前の黒は私に失望したのか殺されると魂で感じ取った。
...がそうはならなかった。目の前の黒はすぐさまその黒を更に濃くして、今現在では光すら通さない本当の漆黒となったのだ。だがそれと同時に私の中にあった恐怖と言う感情も薄れていった。
「これなら大丈夫だろう?それと話をしようかか弱き支配者よ」
か弱いと若干侮辱された気がしたが、それでも私は目の前の黒に何も言えなかった。それは薄れたとは言え私の中には目の前の黒に対して絶対的に恐怖していたのだ。
「あぁそうだ名を名乗らないとな...だが今のお前に我が名を聞くには弱すぎるまぁ適当に黒さんとでも呼べ」
「分かりました黒さんそれと私に何か用でしょうか?」
「うん?あぁそうだったな今回お前が彼の迷宮を支配した事で、お前は支配者階級に至れる可能性を得た。それの確認なのだが...今のお前には強すぎるなまぁこれからも修練に励んで我を追い越すのだな」
そう自分の言いたいことだけ言って黒さんは煙の様に消えていった。私にはそれがただの悪夢かと思ったが、その後には僅かながら黒さんが居たと思われる黒い足跡の様な物が床にしつこくこびり付いていた。
《条件を達成したことにより称号<支配者階級候補>を取得しました》
そのこびり付いた足跡からは今現在の私の魔力量など歯牙にもかけない程の膨大な魔力が感じられて、多分この足跡に対して魔法を放ちでもしたらすぐさま何らかの反撃を受けて私は死亡するだろうと言う事だけは確定されている。
そんな足跡から一旦目を背けて、取りあえず自分の状態を鑑定してみる事にした。そうしたら鑑定のスキルが使えなくなっていることに気づいて、俺はスキルが使えなくなった事とかを現実やゲーム世界両方で調べてみる事にした。
そうして調べてみるとどうやらスキルが壊れてる?らしくて、その破損状態を調べてみてもこれと言った情報は無く、多分と言うか絶対あの黒さんと話した影響だろうなと確信したが、それでもこのスキルの破損状態は何時治るのかと思っていたが、私の勘だが恐らく暫く治らないんじゃないかと思っている。
と言うのも試しに魔力感知を発動しようとしてもどうにも感覚が掴めず難儀しているからだ。まぁハッキリ言って暫くは身を隠すのが最適だよなこんなスキルの使えない体だったら無能も良いところだし。
「...うん?若もしかして新しいく習得したスキルならその制限が無いとか無いか?」
そう考え着いたら即実行と言う事で、新しく<脚力強化Lv1>のスキルを習得してみた。その後試してみたら、ちゃんとスキル自体は使えるようになっていた。
「これってもしも戻らなかったら新しくスキルを鍛え直しとかか?」
そう嘆いていても現実は変わらないと思って、取りあえずスキルの大半が使えなくなった事は一先ず置いといて、今の自分が何を出来るのかを確認していく事にする。
「取りあえず色々確認してみたけど、まぁ使えないなぁ」
と言うよりも具体的に言うなら一応スキルらしきものは使えるっちゃ使えるが、それは、通常のスキルを使った時よりもかなり低威力で、魔法に至っては、魔力の消費が辛く現状最も使えないスキルになっている。
だけれどもスキルの補助が受けられなくなっているだけで、普通に怪力とかのバフ系スキルを覗いて、使おうと思えば使える事に気づけたのは大発見と言える。
取りあえず魔力感知と魔力操作位は真面に使えるようにならないと、現状だと身体能力が弱すぎる。
それからとりあえず魔力感知や魔力操作を伸ばしていこうと思って努力したが、てんで上手くいかず取りあえず見るに堪えないレベルからまぁまぁ我慢すれば見られるかな程度には上達しているがそれでも普通に使えてた時よりも精度も範囲も低下していて、完全無意識で使いこなすなんて手段は出来そうにないと言うのが現状だった。
それでも真面に使えないといけないと言う思いから寝る間も惜しんで魔力感知や魔力操作の練習を徹夜でしたら、何とか最低限使える程度に伸ばす事に成功した。
と言うか自分、まず最初に最高難易度を選んだみたいだった。何せその後観察のスキルの特訓をしたら僅か30分程度で真面に使えるようになり体術のスキルもかなり苦労はしたが2時間もあれば最低限実践で使える程度には成長していた。
それから私が考察しただけだけど、多分これ現実の認識が関係していると私は思っている。何せ観察だとか体術だとかは現実にもあるけど、魔力感知なんてものは普通は無いだからこそ使えるまでかなり苦労したんじゃないかと思っている。
《大いなる存在より啓示を受け取りました》
「うん?あぁ運営からのメールかどれどれ~どんな内容なのかねぇ」
そうして読んでみると、来週の日曜日の午後1時~午後4時までゲーム内初の公式大会である、バトロワが開催されることとなったらしい。優勝者には、特別商品もあると書いていて、かなりワクワクしながらそのすぐ後に送られてきた参加するかそそれとも不参加かのメールに参加の旨を伝えて、ワクワクしながらスキルが真面に機能するようにする特訓を続けていく事にした。
それから1週間特訓を続けたが、相変わらずスキルは破損したままで、ある程度のスキルを使えるようにしたが、鑑定や怪力を筆頭に使えないままのスキルもそのままで、まぁスキルが破損する前よりは弱いけど一つ一つのスキルをただ使っていたよりもかなり成長したと実感している。
そう思っていると突如空気感が今までと全く違うモノになりこの迷宮内の一角の支配が他者に奪われたのではないかと思う程に違う空気はそのまま私の事を掴むと転移を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます