第3話 UHO
「今日の夜、少し遅めに来てほしい。」
「別にいいけど、なんで?」
「(まさか、そういう!?)」
「今日は夜になればなるほどうまくなるやつだからな。」
「あー、そういう系ね、分かった。」
そう、UHOとはそういうものなのだ。
「ていうかさ、学校で普通に話しかけて来てくれたよね?ありがとう!」
「何に感謝してるのかはわからんがどういたしまして。」
「今の誰?撫子彼氏いたっけ?」
「彼氏とかじゃなくて幼なじみ的な?」
「うわ、エモだなーエモ。」
「今度紹介してあげる!」
「撫子の彼氏に手は出せませんよだ。」
「あっ!だから違うし!」
ピンポーン。
「うす。」
「うす!」
「なんか毎回ピンポンさんのめんどくさくなってきたわー。」
「鍵渡しといたほうがいいか?」
「え、ガチの通い妻じゃん。」
「通い妻の意味調べたのかよ……」
「いや調べてないけど。」
「ないんかい。」
「まあとりあえず一個使ってないのあるからやるよ。」
「これでいつでも不法侵入できちゃう……傑のベッドの下を探れちゃう……♡」
「やめて。」
沸かしておいたお湯を入れる。
「さて、今は9時半なわけだが、UHOは深夜が一番うまい訳だが、そういう訳だ。」
「文法やば。」
「だって深夜に食うと美味いんだよUHOは。濃いソース、いや、濃い濃いソースが体を駆け巡り血液を躍動させる感覚は深夜にしか味わえないんだ。」
「でも9時半ってそんな深夜じゃなくない。」
「お前が太らないよう配慮したんだよ。」
「やさしい……!ときめく……!」
「うそつけ。」
「ともかくUHOはすごいぞ、焼きそばの概念が変わる。」
「これを食べたら他のカップ焼きそばには戻れない?」
「そういう人もいるかもしれないな。」
「そんなにか!」
「外とかお祭り食う焼きそばとは違うベクトルのやつだ。」
その例えはちょっと違ったかもしれない。やっぱり屋外で食べる良さとは別物だからね?
5分経ったのでお湯を捨てようとすると、撫子が急に焦り出した。
「大丈夫、カップ焼きそばはそういうもんだから。」
「北海道かどっかには捨てるお湯を有効活用するためのスープの素がついてくるやつもあるらしいぞ。」
「うちの修学旅行って北海道じゃなかったっけ?もし行けたら二人で買いに行こ!」
「おう。」
二人かー。ハードル高いな。
「いただきます。」
「いただきます!」
「焼きそばって啜っていいの?」
「さあ……?良いんじゃないかな。」
「…………」
「どうだ?」
「ヤバい。」
「こう、何?なんか食べて大丈夫なのかなってくらい濃くて美味しい。」
「だろ。」
「麺の色が見たことない色してるし、激アツじゃんね。これ。」
麺はカップ焼きそばには珍しいもちもち食感の太麺で、量がすごく多いわけでもない。最強の夜食……!
「やはりUHO…… UHOは全てを解決する……!」
「ハマっちゃう……!これはすごい……!」
「今度さ、学校の友達紹介していい?傑に興味あるんだって。」
「いいけど、ギャルか?」
「黒髪だよ!」
「黒髪ギャルってのもいるだろ。ギャルかどうかで答えてくれ、いや、答えろ。」
「ギャルじゃないよ。それにオタク。」
「マジのオタク。」
「ならOK、ぜひ仲良くなろうと伝えといて。いえ、伝えてください。」
「手のひらドリル……ってコト!?」
カップめん!〜ギャルの幼なじみと俺は毎週金曜日、カップ麺を食べる〜(仮) @raamenman555
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