第13話

王城に入る。


よくある様などこにでもあるような王城だった。


けど


「やっぱあるね。敵性反応」


俺が呟くと令嬢はこう言った。


「もしかしてですけど、私殺されようとしていますか?」


キョトンとした顔で言ってて俺たちは目を見合せた。


それで俺は心の中で思った。


(えっ?!いまさらっ?!今まで何だと思ってたんだ?!)


突然気の抜けたことを言われて、でも緊張は緩んだ。


そのせいかもしれない。

さっきよりも【気配察知】の精度が上がった気がした。


「2階にいるっぽい」


それから俺は原作知識を思い出すことにした。


王城には原作でも行ったことがあるのだが、そのときやけに気に触る貴族がいたはずだ。


いわゆる悪役ってやつだったように思う。


「アークラか」


俺がそう言うと令嬢は聞いてきた。


「な、なぜその名前を?」

「ちょっとね。でも、俺はそいつが怪しいと思う」


って聞くと令嬢は頷いた。


「私が殺されて一番得するのはあの人ですけど、もしかしてあの人が私の暗殺を?」


俺は頷いた。


「かもしれない」


俺がそう言うとレインはあちこちに連絡を取り始めてこの場に衛兵を呼び寄せた。


そしてこう言った。


「今から件の貴族を問い詰めに行く」


俺たちは階段を登って、会議室と書かれた部屋を開けて中に入った。


そこには例のアークラという貴族がいた。

ひとりで。


「おやおや、皆さんお揃いでどうかしましたかな」


そう言っている男に俺は問い詰めた。


「聞きたいことがあるんだが」

「なにかね?」

「ここで何をしていた?」

「見て分かりませんかな?勉強ですよ、勉強」


そう言って椅子に座り本を広げるアークラ。


しかし俺はアークラが読んでいる本がなんなのかを知っていた。


こいつは愛用している本がある。


「暗殺のお勉強は楽しいか?アークラ」


ピタッと動きを止めるアークラ。


「暗殺?なんの話ですかな?」

「あなたの読んでる本だ。それは暗殺について書かれた本でしょう?」


聞くと普通に頷いたアークラ。


「それがどうかしましたかな?暗殺に対する知識を身につけ予防するために読んでいるのですが」

「自宅で読めばいいだろう?」

「とほほ。自宅には帰れないのですよ。君たちと違って国のことを考えるのに忙しいものですから」


なかなかしっぽを出さないな。


さすが、貴族といったところか。


どうしよう。


俺は令嬢を見た。すると彼女がアークラに話しかけていた。


「アークラあなたが私の暗殺を企んだと聞きました!お話を!聞かせていただきたく思います!」


ビシッ!

ド直球に言って人差し指を向けてた。


(この人緊張感じないのかな)


そう思いながら見てるとアークラは笑う。


「そんなことしてなんになると言うのです?令嬢様」


はっはっは。

笑ってアークラは言った。


「あなたを始末するメリットが私にあるとでも?」


その言葉を聞いて俺は思い出した。


(ウッドレス防衛作戦だが、直前に作戦内容が変わった。しかし、作戦を練り直した訳でもなく、直ぐに代案が出てきていた)


あれはアークラ自信が次のプランを用意していたからだろう。

そして、そういえばこういうのがあったな。


「ウッドレス防衛作戦の成功報酬は爵位が上がるんだよね」

「爵位欲しさに暗殺すると?」

「あんたならするよ」


俺はそう言ってから原作であったことを口にすることにした。


「あんたの経営してた孤児院にいた孤児はあんたの使い捨てのコマだったもんな」


ピクリ。

眉を動かした。


「どこでそれを」


食いついた。

どうやら触れられたくないような話題だったように見える。


それから更に禁句についても触れてみようか。

原作でもアークラを追い詰めるイベントはあった。


その時に出た禁句ワードがある。


「あんた前代の王に毒を盛ったらしいな」


今度は必死に否定してきた。


「そんなことしてないっ!あれは事故だ!私は関係ない!」


そのときレインが口を開いた。


「事故?貴様何を知っている」


剣を抜きアークラに向ける。


「返答次第ではここで殺す」


この国の前代王は病気で死んだというのが一般的な情報だった。


しかしこいつはそれを事故と言った。


「アークラ。あなたをとりあえず捉えよう。前代王の殺害への関与の疑いで拘束する」


そう言って近づいて行くレイン。


ダッ!

逃げようとしたアークラに対して俺は魔法を放った。


【フリーズ】


足だけガッチリと氷で固めた。


これだけで動けなくなったところをレインに捕縛されていた。


「話は後で聞くぞ」


そう言われてアークラは兵士たちに連れていかれる。


そのあと令嬢は俺に話しかけてきた。


「あ、ありがとうございました!本当に殺害を企てられていたんですね!」

「あぁ。こっちこそ良かったよ。なにか起きる前に助けられてさ」


そう言って俺はレインに目を向けた。


「報酬は?」


聞くと彼女は手渡しで渡してきた。


【9000万ガロンを手に入れました】


「この国の未来を考えると端した金だな」

「うぐ……」


やはりもっと吹っかけておくべきだったかもしれない!


まぁ、後悔しても仕方ないな。


俺がそう思っていると令嬢は聞いてきた。


「お金が欲しいのですか?」

「え?そりゃいらない人はいないでしょ」

「それでは私と婚約しませんか?!私お金持ちですよ」


そう言われて俺はアンリのことを思い出していた。


「ごめん、婚約者いるんだよ」

「そ、そうなんですね」


ガックリ。

なぜか肩を落としていた。


俺はそれから姉さんと一緒に宿に向かうことにした。

そろそろ眠くなってきたし。


その帰り道に俺はレインに聞かれた。


「道中で狙ってきた連中だが、あいつらはなんなんだ?」


そう聞かれて俺は答えた。


「気配の感じからして裏ギルドだよ。アークラに依頼されたってところだろう」


もちろん、いずれは闇ギルドとの因縁にも決着をつけるつもりだ。


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人生に難易度が存在するゲーム世界に【最高難易度】で転生したけど、この世界の仕様を知ったので無双余裕でした にこん @nicon

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