第27話 ヤッてやる

「ちゅぱちゅぱ、お姉ちゃん、このロリユーリって、んっ、最近ニュースに出て来るけど、あんまり何やったか分からないけど何やった人なの?」

「こら、タッくん。お姉ちゃんのオッパイ枕で寝てるときは、オッパイに集中しなさい」

「ぷはっ、タック。お姉ちゃんのチューしているときになにに気を取られている? チュー中はテレビ禁止」


 それはいつかの日。

 休日の日にたまたま点けていたニュースを見た時のこと。


「あのね、このロリユーリってあまり一般には公表できないような犯罪をやっていてね……幼い子を攫って……とか。そして攫った子を……とか。あっ、タッくん、もっと枕でモガモガして~♪」

「え?! そんな悪い奴なの!? 何で逮捕されないの?」

「あむ、ちゅぷ、ニュースにも出てる、逃亡中。何よりそいつは私と同じ科学者で、もと銀河警備隊所属……私たちを特に警戒してなかなか尻尾を掴ませない……あっ、タック、もっとチュウ」

「え?! 銀河警備隊だったの!? え、そんなことが……そんな、正義の銀河戦士がどうしてそんなこと!」

「分からない。だけど、銀河警備隊として必ず捕まえなきゃならない犯罪者……タッくん、寝るだけじゃなくて、食べてもいいよ? おなかちゅいたでちょ?」


 最愛の姉たちですら手を焼く犯罪者。

 もしそれを自分が捕まえられたら?

 そんな想いを抱き、姉たちがロリユーリを捜索している間、タックもまた独自に調べていた。


 そうしたら、本当にたまたま、偶然にもその動向をタックは掴むことができた。


 ロリユーリも銀河警備隊本体の動向や捜査網ばかり気にしていて、恐らく別途で個人的に動いたタックまで気づかなかったのだろうと、タックは予想した。

 

 そして、そのまま自分の男を上げるためにとたどり着いたこの世界で――――







「ロリユーリを知っているんですか! いや、それ以前に……あなたの身体……あなたも僕とは違うタイプの……改造人間ッ!」


「ふふふふふ」


 フタナリーナの秘密をそう確信したタック。

 フタナリーナは否定せず笑う。それは肯定の意。


「改造人間? どういうことだ、母上! ロリユーリとはたしか母上によく会いに来ていた客人の……」

「タッくん、どういうことだ?」

「一体どうしたっていうのよ、もう何が何だかサッパリよ!」

「?」


 フタナリーナの秘密を、どうやら娘であるエクスタとオルガスも知らなかった様子。

 家族にすら明かしてなかった秘密。

 しかし、それをフタナリーナは知られたところで特に何も包み隠すことは無かった。



「理想の世界を作る……ということで協力関係だったり、ベッドの上で友情を確かめ合ったりと、あやつとは気が合った。まぁ、全土全種族統一して男の人権も奪えたことで、色々とワシはちょっと退屈になってしまったがのう」


「っ、どこに……ロリユーリはどこに!?」


「さぁ~、どこじゃろうなぁ~♪」



 取り乱したように追及するタック。

 だが、フタナリーナはそれに対しては応える様子はなく、おどけた様子でニヤニヤするだけ。


「教えてください! さもなくば――――」

「おっと、どうする? たしか、おぬしらの世界では本来こういう無許可でワシらの世界に足を踏み入れて干渉するのはご法度じゃろう?」

「え……」


 それはタックにとっては、もはや今さらなことではあった。

 昨日の港で、見るに堪えないということで無理やり関わったり、そもそも色々あってこの世界の女たち……オルガスやエクスタはじめ何人もの女と交わってしまった。

 それはら本来ならば重大なルール違反。

 しかし、タックの中でそのことを知っているのは、あくまでこの世界の者たちだけであるということで、少し脇が緩くなっていたところもある。

 だが――――



「ロリユーリにこのことを話、貴様らの世界に貴様のことを報告させたらどうなる?」


「っ、そ、それは……」



 次の瞬間、タックの顔が青ざめた。

 当たり前のことである。しかし、まさか未開の星の現地の人間から言われるとは思わなかった。

 だが、もし本当にフタナリーナを経由して、追っている犯罪者、そしてそこから本部に伝わってしまえば?

 犯罪者になるのは自分であり、さらには最愛の姉二人にも迷惑が掛かってしまう。

 それだけは……


「とはいえ、まるで男っ気のなかった娘二人の処女卒業させてくれたことは功績として認めてやろう」

「え?」

「恐らく孕んでいるだろうし、そうなればワシはおぬしにとっても母になる……我が国の婿に手荒な真似はせんさ。楽しませてくれている間はのう」


 だが、このまま自分は終わりかと思った矢先、フタナリーナからは意外な言葉が出てきた。

 どういうことかとタックが首を傾げると……



「言ったはず。ワシは刺激が欲しいと。このままただ密告するだけで、おぬしも居なくなり、ロリユーリはこの世界から逃げていなくなる……それで終わり……それではやはりつまらんと言っている。外部から来た人間がどうワシを楽しませてくれるか……今の興味はそれだけじゃ」


「ど、どいうことですか……僕に何をしろと」


「どうせ、今は何もできず、だからと言って帰るわけでもないのじゃろう? ならば、しばらくはこの世界で遊べばよい。ワシを殺すために頑張るもよし。オナゴを手当たり次第に孕ませるも良し。男の人権を取り戻すために戦うもよし。なんなら娘の婿として軍を与えて反乱の鎮圧で暴れさせても良い」


「そ、そんなことっ―――――」


「ならばここで死ぬかッ?! のう、タッくんとやらァ!」


「ひぐっ!?」



 解き放たれる強烈無比のプレッシャー。

 それを正面から至近距離から受けてタックは実感した。

 

――今の自分では勝てない


 と。


「は、母上、先ほどから何を! ダーリンをあまり圧しないでくれ!」

「タッくん!」


 慌ててオルガスとエクスタがタックを抱きしめて守るように立つ。

 それを前にして、フタナリーナもプレッシャーをとき……


「ふっ、まあ、いずれにせよ、ワシを楽しませよ。タッくん」


 そう言い放ち、フタナリーナはまたベッドに寝そべった。

 

(……なんてことだ……僕は……とんでもない思い上がり……未熟だとは思ってたけど……こんなことになるなんて……こんな人がこの世界に……)


 プレッシャーから解放されたタックは深く息を漏らしながら、心臓をバクバクさせた。

 この世界に来る前までは、まさかこんな事態になるとは思っていなかった。

 追っていた犯罪者どころか、現地の者にまで圧倒されるということを。

 だが、同時にメラメラと燃えてくるものもあった。


 

(でもいい……何とかしてみせる! この状況を打破して、そしてロリユーリも逮捕して、それができたなら僕はもっと逞しい男になってるはず! だから、コレは試練だ!)



 考えてみれば、これも試練の一つ。

 強く逞しい男になりたいと思って単独行動をしていたのだ。

 楽勝でない方がむしろ自分の成長に繋がる。



(やってやる! 待っててね、お姉ちゃんッ!!)



 だから、やってやる。

 そう誓ったタックだった。

 






 しかし、タックはまだ分かっていなかった。




 待つ?




 姉二人が?



 そんなわけがない。


















「この星にタッくんが居るんだよね、はあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあはあ、タッくんタッくんタックンタックンタックンタックンタックンタックンタックンタックンタックンタックン」


「間違いない。タックに内蔵した発信機の感度良好。ニガサナイ、タック。私たちのタック。タックタックタックタックタックタックタックタックタックタックタックタックタックタックタックタック」



 そのとき、星の海の向こうから降りてきた二つの影。


「ん?」

「どうしたの?」

「……タックとの距離が近づいたから他のパラメーターも感知……精力メーターが……少し減ってる。私たちが相手をしてないから普通は増えているはずなのに、減ってる。つまり……」

「へぇ……」


 その二つの影は聖母のような笑みから、サタンのようなプレッシャーを放ち……


「お姉ちゃんに隠れて、いけないこだね、タッくん」

「私のタックが知らない女と? ユルサナイ。NTR・即・殺!」


 そして同時に歪んだ禍々しいオーラを纏いながら……



「すぐ行くね、タッくん。邪魔な虫は全部お掃除してあげる。そしてタッくんにはお仕置きだね。もう誰もいない無人惑星を買い取ったから、お姉ちゃんたちと一生私たちだけの世界で一緒に居ようね♥」


「タック……タックを私たちに無許可で穢した奴も消す……コロス……孕んでたらユルサナイ……」



 その闇が、この戦乱の終わった世を再びカオスにかえることになるのだった。



「「オ姉チャンガスグニイクカラ!!!!」」





――第一部 完―――



短い間でしたがありがとうございます。

一旦、本作は区切りたいと思います。

本当は色々とカオスなことを考えてましたが、厳しい……



また新しいのを初めて頑張りたいと思います!


最後に下記の『★』でご評価いただけたら幸甚です!



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銀河戦士タッくんが征く貞操逆転異世界おねショタファンタジー アニッキーブラッザー @dk19860827

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