人気上昇中のダンジョン配信をしているのは人ではなく魔物

第1話

ここは世界で唯一まだ攻略されていないダンジョン。

人間たちのいうところのラストダンジョンである。

世界中にダンジョンが出現してから数100年。

当初あれだけあったダンジョンは全て攻略され、人間の手に堕ちた。

ダンジョンというのは誰が作ったのかは知らないが全ての魔物に、ある思考が埋め込まれていた。

それは『人間を滅ぼせ』というものだった。

しかし、現状それは不可能だった。

というのも数の問題で魔物は人よりも少ない。

それに一匹の戦闘力も人間の中には上回ってくる奴がいる。

そして一番の問題は……こいつらの士気の低下である。

「え〜？人間やばいっしょ？まじくそじゃんねぇ？」

「引き篭もりたい…家から出たくない…」

「血…怖い…」

「え……英雄…！かっけぇ…！」

ぶちっ

俺の中で何かが切れた。

「何人間じみたこと言ってんだテメェら！ってかそのスマホしまえ！ダンジョンのエゴサしてんじゃねぇぞ！」

どいつもこいつも！

人間は滅ぼす対象だろうが！

「おいそこのやつ！その顔はなんだ！ふざけてんのか！」

「えぇ〜？ギャルメイクっていうらしくて超かわいっしょ？」

ふんぬっ！

右頬に強烈な殴打を加え、数mほど吹き飛ばす。

「おい！何が引きこもりたいだ！モンパレ起こして地上に侵攻するのが俺らの役目だろ！」

「…ぃ…いやぁ…だって…ゲーム楽しいし…」

ふんぬぅ！

手に持った現代機械に電流を流して木っ端微塵にする。

「魔物のくせに血が怖いとか英雄に憧れたりしてんじゃねぇ！俺らはあいつらを滅ぼすんだぞ！そのために生まれてきたのに…なんだこの腑抜けた姿は！」

「「「「…………」」」」

「俺らの先祖どもがどう死んでいったのかしらねぇのか！」

滅ぼす、滅ぼさない以前の問題だ。

人と魔物は分かち合うことはできない。

そうプログラムされている。

だから…あいつらは平気で残虐非道な行いをしてくる。

持て囃されているのは皮を被っているから。

いざ攻略に来た奴らは英雄でも勇者でもなんでもない。

ゴミクズどもだ。

そんな奴らに対抗するために…！

俺という存在が生まれたんだ！

「俺は前ダンジョンボスの手によって、このダンジョンの新ボスになった悪魔だ！俺にはあいつらを退ける役目がある！だがあいつらの適応力は半端じゃねぇ！だから…色々調べに行くぞ」

「「「「……へ？？」」」」

悪魔こと俺…アクマとでも呼んでもらおうか。

アクマは四匹の魔物を引きずって下層にある書庫を目指した。

これから魔物によるダンジョン大逆転物語が始まる。