第15話 (終)
気だるそうにしている。
「また、対戦しますか?」
「どうしてそんなに荒れてるんだ」
「荒れてる?」
「撃とうとしてただろ」
「荒れてないですよ」
対戦射撃ゲーム。
「いつも通りです」
負けた。前回と同じ、指導戦の様相。
「こういう人間なんですよ、元々」
それは違う。ちょっと一緒にいただけ、だけど。違うと分かる。心のどこか、本来あるべきところの何かが、壊れている。
「いたくないか?」
「いたい?」
「こう、心の、どこかがいたむとか。良心の呵責的な」
「ない、ですね」
負けた。さっきよりもやさしく負けさせられた。
「本当にそうか?」
「ええ、まぁ」
もしかして。
「後悔、してる?」
「後悔?」
「うん。後悔」
「後悔かぁ。あっ」
勝った。
「ありました。後悔」
負けた。
「後悔してます。本当に。後悔しかない」
そこで、ゲームをやめた。続けようがなかった。どんな後悔かは、訊けない。たぶん一生、訊けないと思う。
泣いていないけど、泣いている。それが、今。ようやく、分かった。
後悔の四方山 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110
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