第14話

 彼女面倒だな。


「誰のためでもないですよ」


 そう。ただただ、警邏の任をあてがわれたから、それを実行しているだけ。


「ちょっと来い」


 また、連れていかれる。


 この前のゲームセンター。

 対戦射撃ゲーム。


「どけ」


 警邏担当が何人か。

 彼女の眼光で、おとなしく引き下がった。そういう、警邏として失格な動きをするのは、人の死に直結するという任務の質を欠いている。


「おい待て撃つなっ」


「なんでですか。睨みつけられただけで引き下がるのは、警邏失格ですよ。殺してもいいぐらいだ」


 死ぬほどのミスではないので、服の一部でも弾丸で焦がしてやろうと思ったのに。彼女が間に入ったから撃てない。


「本気か?」


「何がですか?」


 警邏担当数人。こちらのやり取りに気付かないまま、ゲームセンターを出ていった。ばかどもが。背後の状況にも理解を示さないとは。あらためて、この町の平和加減には幻滅させられる。


「座れ」


 彼女。対戦射撃ゲームに座る。


「座れよ」


 面倒な。

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