第2話 何も知らないスライムさんをゲーム中毒貴族が襲う!
実の所私はこんなんでも腐っても貴族の次男だ。姉や兄など上が優秀なので気負わなくて済むのは素直に助かる。
ジョブの事に関しては凄く気の毒そうに励まされたが私にとっては最高の結果だったのでこれも良い。それはそれとして、姉…お前、人を気遣う事出来たんだな…正直一瞬『ゲーム』スキルの事忘れるくらい吃驚したぞ。何ならドン引きしてた。
まあ、何が言いたいかと言うと貴族の子なら魔石使い方だと思うだろ?
それがそうにも問屋は下ろさない、我が『ブローズ伯爵家』は小遣い制なのだ!
そしてこの小遣いは普通に贅沢する分には十分でもゲームで遊び呆けるには足りない…かなり足りない。
ついでに言うと今月のお小遣いは既に使い切っている。
ブローズ伯爵家の本邸がある街『バートン』は街を囲う防壁を出て直ぐの草原にそれなりの数の「子供のお小遣い」こと『スライム』が出没するのだ。
そんな訳で早速私は『バートン前草原』に向かう事にした。護衛は?要らんよ姉や兄なら兎も角私じゃ割に合わないしね。
それはそれとしてバレると怒られるので内緒で抜け出して来たんだが。ジョブの件で落ち込んでると思われたらしく案外バレなかったぜ。
早速草むらを掻き分けたら直ぐ其処にいたスライムを持って来ていた割と鋭利なスコップで切り殺す。
因みに長い感じのシャベルじゃなくて手持ちな感じのスコップだ。鋭いやつは本当に鋭いからな。
スライムを殺して手に入る魔石は『Fランク魔石』だが別に良い。別に良いと言うか『ゲーム』レベル1に使う魔石はFランクのものなので何の問題もない。
そう言えば、言ってなかったがスライムはライトノベルとかに良くある感じの見た目だと思って欲しい、唯目とか口とかの顔はないタイプのだけど。温厚で彼方から襲って来ないノンアクティブな魔物なので一方的に殺せるのだ。
正直魔石さえあれば良いので残った死骸はそこら辺に捨て置く事にした。
家から使ってない『マジックポーチ』—ラノベでよくある空間拡張されてるやつ—を持って来たので魔石を沢山集めれるのだ。
『ゲーム』レベル1のアビリティは〈アーケード〉だ。
タチの悪い事に『ゲーム』スキルは遊ぶのにも魔石を使うし、拡張するのにも魔石を使う。
一つのアーケードゲームを解禁するのにFランク魔石を最低10個使い。
1プレイにも魔石を最低1個使う。
まあ、それでもやるのだが。
今私が持っている魔石は30個…ぴーぴー鳴くスライムを一体一体さくさくとなぶり殺してやった結果である。
今解放できるアーケードゲームは正直前世で言うならかなり古いものしかない…がレベルが上がるなり何なりすればもっと新しいゲームが遊べる様になるだろう。
悩みに悩んだ末に選んだゲームは解禁に魔石を20個も使う『スペーシアン』に決めた。
『スペーシアン』は余りアーケードゲームに興味のなかった私でも知ってる作品であり、スペースロケット「スペーシップ」を左右に動かし画面上部のエイリアンを単発の「デブリミサイル」で撃墜するゲームだ。
エイリアンのミサイルや体当たりを受けるとスペーシップは破壊され、画面左下の残機が1つ減り残機が無い状態でミスをするとゲームオーバー。コンティニューやネームエントリーは無いと言うシンプルな仕様だ。
幾ら時代が経とうと古いゲームがプレミアム扱いされる様に正直五年も絶ゲーム生活を強制された私も楽しめるだろう。
異世界ゲーマー 〜ゲームをする為に魔物を殺す〜 南瓜の王冠 @pumpkinthecrown
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