回復1

「良かったのですか?」


マリは開口一番そう言った。


「ああ。魔力操作がずば抜けていた。おそらく魔力操作のレベルが7を超えている。」


「ッ!!。それは、すごいですね。」


「ああ。掘り出し物ってやつだな。」


薬屋にとって、魔力操作のスキルレベルは全てだ。

ましてやスキルレベル7なんて、一生辿り着けない人ばかりの達人の領域だ。


「さすが、リュウさんです。」


「ああ。まあな。」


まあ、部位欠損の激しいエルフを自分の薬の実験台にしようという気持ちもないでもない。


ーーーーーーーーーーー

俺が買った薬を作ること専門の家に大きい桶を置き、中を薬液でいっぱいにして、エルフを薬液の中に入れる。


「よし、これでよしっと。」


薬液は効能が確かな温泉みたいなもので、怪我が重いやつは大体薬液に入れる。

薬液に凄まじいところはそういうところではなく、スライムを少し混ぜることによって、体の老廃物、排泄物を全て食べてくれるという。

最強の介護風呂なのだ。


「風魔法が使えるから、溺れないだろ。どうせ火魔法も使えるだろうから、自分で温度調整してくれ。」


エルフの女に反応はない。

試しにおっぱいを揉むと、風の魔法が飛んできた。


「ちゃんと返事できるんだから、返事ぐらいしてくれ。」


反応がない。頷くぐらいできるだろう。


「まあ、いいか。これからよろしくな。」


ーーーーーーーーーー

それから俺はこいつを甲斐甲斐しく世話をした。

目が見えないから、薬を作るときは苦労したが、それでも卓越した魔力操作ができているおかげで、高い薬が作れた。


「それにしても良かったな、歯が残ってて。」


歯が折られていなかったので、食事はスムーズにできる。

まあ、前のご主人はこいつを性的処理のために買ったらしがこいつが無茶苦茶暴れたらしいからな。

歯を折ろうとしたら顔を無茶苦茶傷つけないといけないからしょうがないか。


寝るときはこいつを薬湯から出して、服を着させて、ベッドで眠らせる。

こいつが作った薬を売って、買った高級ベッドだ。


「おやすみ。」


「、、あ、、。」


最近、微かに返事をしてくれるようになった。潰された喉の調子が良くなってきたのか?


ーーーーーーーーーー

話は変わって、俺の相手の魔力を吸収しながら戦うこの戦法は強力だった。

カウンター主体だしな。

どうせ、俺以外の誰かが先にやっているだろうが。


「でも、こういう使い方ができるとはな。」


ダンジョンのモンスターハウス。

モンスターがとめどなく出てくるこの現象では、俺の身につけた技術が役に立つ。

体力に限界はあるが、魔力は魔物が出てくる限り、なくならない。


「今までは、逃げていたが、これからは積極的に戦っていくか。」


「はい。」


マリには魔力回復薬をのんでもらう。

魔力回復薬は高いが俺の場合は材料費しか、かからないので採算はあう。


「レベリングか、、、、。」


マリに早く、魔力を奪う技術を覚えてもらいたいな。

ーーーーーーーーーーーーーーー

部位欠損は、この異世界では治る。今の俺たちにはできないが。


「エルフって何歳くらいまで生きるの?」


「えっ?私たちと同じくらいですよ。」


「えっ?200歳まで生きないの?」


「そんなわけないじゃないですか。」


この、異世界ではエルフは長生きしないらしい。

といううかあいつって何歳なんだろう?そもそも名前も知らない。

まあ、いつか聞くか。


ーーーーーーーーー


「え?スタンピードが起きたから、俺に行ってほしい?」


「ああ。戦力としてよりは薬屋としてだがな。」


俺が所属しているクランマスターのハゲのおっさんに呼び出されたと思ったら、意外な話を聞いた。


「なんで俺を?」


「薬屋と冒険者二つの実力的に問題ないのがお前しかいないからだ。」


(確かに、冒険者で薬屋というのはあまり聞かない。)


「薬屋が欲しいなら、そこらへんの爺さんでいいだろ。」


「薬屋なんてのは冒険者ができなくなってからなるもんだ。お前みたいに兼業している奴は少ない。更に、お前ぐらいの実力者はもっと少ない。」


「それに参加して、報酬は?」


「給料が日給で出る。素材も手に入る。」


「特に必要ないな。」


「他の冒険者、騎士の手の内が見れる。それもただで。」


戦い方、剣術、魔力の使い方、体の使い方、集団での戦い方。

これら全て、当たり前だがいくら金を払っても教えてはくれない。

それほどに価値のある情報なのだ。


「妻と一緒でも?」


「構わない。給料は一人分しか出んがな。」


「分かった。」




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経験値獲得1.2倍の冒険者生活 @ininininin

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