ゼウス、初配信をする②

さて、デススケルトンを倒しながら、ゼウスがダンジョン内を進んでいたが..........


「...........む?」


どういうわけか、白い鎧を纏った集団と遭遇していた。


「白鳥さん!!あ、アイツって.......」

「............えぇ、間違いないですね」


白い鎧を纏った集団は、ゼウスの存在に気がつくと...........何故か、彼に対して睨んでいた。


「...........我に何か恨みでもあるのか?」


『お前が強姦未遂犯だからじゃね?』

『言えてるw』

『てか、あの鎧って...........ホワイトローズのやつじゃね?』

『あ!!本当だ!!』


「ホワイトローズ........?何だそれは?」


『【悲報】強姦未遂犯、ホワイトローズのことを知らなかった模様』

『日本の最強クランの一つであるホワイトローズを知らないなんて..........』


「まぁ。約一年もの間、特訓に明け暮れていたからな」


視聴者達に向けて、そう呟くゼウス。

一方、そのホワイトローズ側はというと


「女性一人を傷つけておいて........よくもまぁ普通に生活していられるな」

「アレこそ人間のクズだな」

「えぇ、そうね」


ゼウスに対し、眉を顰めていた。


「...........言いたいことがあるのなら、我の目の前で言ったらどうだ?」


そんなホワイトローズの面々に対し、呆れながら、そう言うゼウス。

すると、その言葉に対し..........


「..........クズにしては、随分と堂々としているんですね」


ホワイトローズのメンバー達のリーダーらしき人物が、ゼウスを睨みながら言うと


「我は腹黒い女など抱かぬ」


堂々とした様子で、ゼウスはそう言い放つのだった。


『コイツ、今ラムちゃんのことを腹黒い女って言ったか!?』

『これもう絶許案件だろ!!』

『許さん!!許さんぞぉ!!』

『万死に値する!!』


ゼウスの言葉に対し、罵詈雑言で溢れかえるコメント欄。

それは、ホワイトローズのメンバーも同じだったようで..........皆、武器に手を取ろうとしていた。

しかし、それを制止したのは、ホワイトローズのリーダーらしき人物であった。


「我々の目的はダンジョンの攻略。犯罪者の断罪のために来ているわけではありません」

「で、ですが!!」

「それに....仮に犯罪を犯していても、彼は人間だ。殺す必要がありますか?」


リーダーらしき人物がそう言うと.....ホワイトローズのメンバー達は、武器を収めるのだった。


『あの人って...........ホワイトローズに所属している探索者、白鳥薫じゃないか!?』

『あ!!本当だ!!』

『確かに、あの美しさだったら女性人気も頷けるな』

『しかも、実家があの白鳥グループだから、白馬の王子様オーラが半端ないよな』

『だな〜』


(王子様..........か)


ホワイトローズのリーダーこと、白鳥薫を見つめながら、そう思うゼウス。

すると........そのことに気づいた薫は


「..........何ですか?」


ゼウスに向けてそう尋ねると、ゼウスはこう言い放った。


「お前.............女か?」


その瞬間、薫は顔に真っ赤にしながら、こう反論した。


「ち、ちちちち、違います!!僕は.....僕は、断じて女ではありません!!」

「ほぅ?では、何故そんなに慌てているのだ?」

「はぅ!?」


ゼウスにそう言われ、ぐうの音も出ない薫。


『この反応..........ガチじゃね?』

『薫様が.....女子ぃ!?』

『ど、どうせデタラメに決まってる!!』

『でも、めっちゃ慌ててるってことは.......』

『聞いてない!!俺は聞いてないぞ!!』


ゼウスの発言に真実味を持たせるかのように、過剰に反応する薫を観たため、同然ながら困惑する視聴者達。

それは、ホワイトローズのメンバー達も同じだったようで..........彼らもまた、呆然とした表情になっていた。


「げ、現に!!何を根拠にそんなことを言っているんですか!!」

「いや何、我の雄としての本能がつい発揮されてしまってな」

「はぃぃぃぃ!?」


雄としての本能。

その言葉の意味を理解したのか、徐々に顔が真っ赤どころではなくなる薫。


『お前!!言っていいことと悪いことがあるだろ!!』

『野郎ぶっ殺してやる!!』

『強姦未遂犯め.....まだ懲りていなかったのか!!』


「何故、そんなに怒るのだ.....?」


大炎上どころではない状況になったコメント欄に対し、ゼウスは首を傾げていた。


「し、白鳥さん....?」

「...........行きましょうか」

「あ、は、はい!!」


自身の秘密がバレたからか、涙目でゼウスを睨む薫。

それに対し..........ゼウスはというと


「やはり.....強き女は美しいな」


何気なく、そう呟いた。


「...........っ!?」


それを聞いた薫は、そのままホワイトローズのメンバーを引き連れ、風のようにダンジョンの奥へと進んでいったのだった。


「.........なるほど。恥ずかしがり屋なのか」


『いや違うと思うぞ』

『テメェ後で殺してやるからな!!』

『これは薫様の女性ファンが色んな意味で絶叫するな』

『薫様の正体が男装女子..........うん、アリだな』

『宝塚かな?』


さっき起きた出来事によって、良い意味でも悪い意味でも、阿鼻叫喚と化してしまったコメント欄を観たゼウスは、不思議そうな顔をして、こう言った。


「神話の時代から、女になった男になった人間はいたが...........それの何が駄目なのだ?」


ヤバい神話オタ『現に、ギリシャ神話にはカイニスという元祖TS男体化した女性が居ますしね』


「あぁ、そうだ。カイニスがああなったのは、ほぼポセイドンが悪いというか、何というか.......」


ヤバい神話オタ『カイニスがTS男体化したのは、ポセイドンがカイニスを無理矢理襲ったからですもんね』

『oh..........』

『神話とは言え、えげつないな』

『多分、薫様はカイニスとは別の理由で女装しているんじゃね?』


「...........そうなのか?」


キョトンとしながら、そう呟くゼウス。


ヤバい神話オタ『むしろ、カイニスの場合は性転換してるので..........』


「あ、それもそうだな」


ヤバい神話オタという視聴者のコメントに対し、納得したような顔になるゼウス。


「それに.....最終的には、我がカイニスを仕留めたのだったな」


ヤバい神話オタ『え?』

『は?』

『ん?』

『ヘ?』

『Why?』


ゼウスの言葉に対し、騒然となるコメント欄。


「言っておくが、性的な意味ではないぞ」


『でしょうね!!』

『な、何言ってんだ..........?』

ヤバい神話オタ『そういえば..........最終的に、カイニスは自分を神として崇めるように人々に言ったがために、ゼウスの怒りを買って殺された.................っていう感じの最後だったはず』

『あ、分かった!!そういうキャラ設定だろ!!』


「キャラ設定?何だそれは?」


コメント欄の言葉に疑問を持ちながらも、ダンジョン内を再び進むゼウスなのだった。

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デウス・エクス・ダンジョン〜不幸な荷物持ちの少年に憑依したのはまさかのゼウスでした〜 @marumarumarumori

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