なつやすみのしゅくだい

高黄森哉

なつやすみのしゅくだい


 わたしは、なつやすみのしゅくだいを、するようにいわれた


 だから、しゅくだいは、きっちりした


 しゅくだいは、ぼうだいで、


 とてもいちにちでは、おわるりょうではなかった


 まいにち、しゅくだいをするひつようがあった


 ともだちは、みんな、そとであそんでいた


 やすしくんは、しゅくだいもせず、そとでずっと、


 ばすけっとぼーるの、れんしゅうをしていた


 そのおとが、わたしのいる、へやまできこえてきた


 さとこちゃんとかは、いつも、にわで、むしとりをしていて、


 きょうすけくんは、そのあそびにつきあっていた


 ふたりのかいわが、まどがらすをふるわせた


 ただしさんは、じてんしゃにのれるよう、れんしゅうしていた


 じてんしゃがころぶたび、べるがなった


 わたしは、だれも、なつやすみのしゅくだいをしていないのが、ふしぎだった


 こまるのは、じぶんなのに、どうして


 ようやく、しゅくだいをおえたとき、なつやすみがおわった


 わたしは、おとなになるまで、


 なつやすみのしゅくだいをわすれたことが、なかった


 それなのに、


 なつやすみに、やらなくてはならなかったこと、


 ひとつもできていなくて、


 わたしは、ようやく、なつやすみのしゅくだいが、


 じつはひとつも、かんりょうしていないことに、きづいた


 とうのむかしに、ていしゅつきげんがすぎていて、


 だれにだすこともできない、しゅくだいのやま、


 わたしのこころへ、おもく、おもく、


 くずれかかった。

 

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なつやすみのしゅくだい 高黄森哉 @kamikawa2001

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