最期の旅

わたしは思い出した。

ここに来たことがある、と。

そして約束していた。

一体いつから忘れていたのだろう。

この白銀の庭の、ハクモクレンの木の下で、

わたしをわたしと呼んだ人と。

涙が視界を滲ませた気がしたが、気のせいだ。

もう溢す涙も器も無い。

魂になってここへ帰り着いたのだ。

ありがとう。

あなたの約束がここへ導いてくれた。

さようなら。

あなたを思って最後に目を閉じよう。

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言葉、言葉たち @fumu

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