狐の嫁入り

ベルベット

第1話 癒しを求め

僕はこの街が嫌いだ。

この景色が嫌いだ。

この人混みが嫌いだ。

この薄汚れた空気が、嫌いだ。

毎日毎日人目を気にして、ヘコヘコして、人混みに飲まれて、酒に飲まれて、汚れていって……

もう僕が僕でないみたいで、押しつぶされていく。僕の目標は薄れていく、いや本当は生きる口実が欲しいだけで、本当の目標なんて無いのかもしれない。だけど、そんな中でも唯一僕の生きる口実になっているものがある。それは絵を描くこと。休日は空きがあれば美術館に頻繁に行っている。絵は仕事を忘れさせてくれる鑑賞も好きだし、描くのも好きだ。そうして僕はいつも日々を乗り越えてきた。だけど、最近仕事に追われ創作意欲も湧かなくなってとうとう僕は生きる意味を見失ってきてしまった。そんなある日1つの雑誌が目に付いた。それは海外旅行の雑誌だった。海外は何回か旅行に行ったりしていたことがあった。そういえば僕はのどかな場所に住んで、自然に囲まれて、そんな中でお茶でもして、読書でも読んで、絵でも描いて、そうやってゆっくり過ごしたいと思っていたんだ。うすれた目標が少しずつ思い出される。お金はそこまで浪費しない方だったので、幸いお金はある程度溜まっている。今まで冒険のなかった人生…行動してこなかった。そんな自分に終止符を打ちたいとも思い、僕は海外ののどかな場所で住むと硬い意思で決めた。そうなったら早速行動だ

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