大人向けです。
大人になる寂しさを知ってる読者むけ、という意味です。

あわせて、男女の艶事の物語でもあります。
男女のなかは、それを無しには語れないから。

主人公、２８歳。
社内恋愛。
───一途に男を愛し、愛の交歓がよろこびに直結するような、そんな恋愛を。
またいつか、する日がくるだろうか。

あまり書くとネタバレになるので、これ以上は書きませんが、私は、この主人公をとりまく「二人の男」は好きです。
もう一人は嫌い。ぷんぷん。٩(๑`^´๑)۶

快楽に煙る……煙が立ち、くすぶり、ぼうっと薄く霞んで見える。
私はそのようなイメージを持ちました。

さあ、あなたは、この、ぬるい海、どのようなイメージを持ちますか？

目を背けないで、読んで欲しい。

決して、いやらしいとかそういうものではありません。もっと大事で、愛おしいもの。

物語の底をぬらぬら見え隠れしているのは、ぽっかりとした空洞。


私たちは誰しもソレを持っているのだと思います。

空洞埋めるための手段を、どうするか。
空洞の正体を探すのに、誰を求めるのか。


正解はないのだと思います。
だから、本当に「ぬるい」海にたゆたうしかないのです。

序盤から溶けるような、でもさっぱりした愛情を感じます。

大人になると、簡単には名前が付けられない複雑なものが体の中心に溜まっていくことがある。
恋とか、愛とか、情とかわかりやすく分別できないもの。
このお話はきっと、
「すごくよくわかる」
「なに言ってるかわかんない」
で、感想真っ二つになるんじゃなかろうか？
人間の深い、黒い場所を垣間見てしまったような背徳感と罪悪感。
主人公に対して「幸せであれ」と願う気持ち。
久しぶりに、ずしんと重たい、読みごたえありの西しまこワールドに酔いしれました。