ハロウィンSS マイノ・シトリー姉妹とハロウィーン!

 ハロウィン、それはかつていた世界で行われた行事。


 それが、この世界でも行われていた。


「トリックオアトリート!心臓くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!!」


「な、なんだこれは」


 10月31日の都市アルキナの夜。街中は仮装している人々であふれ、小さな子供が各家々を転々としていた。


「ボス、これは昔催しの案で出ていたハロウィーン!という催しです!今年から取り入れることにしたんです!」


 っとフユナが声を上げた。


「な、なるほどな」


「仮装、してみたいです」


「わ、私は別に」


 今日、俺はマイノ・シトリー姉妹と来ているんだが、どうやら仮想をしてみたいらしい。


「それじゃあ、さっそくだし、ハロウィーンを楽しむか!」


「おー!」


「私はまだ参加するとは…………」


「マイノ、いくよ」


「ちょっと待っ!」


 俺たちはそれぞれ仮装することになり、仮装室へと出向いた。そこで俺はなんと吸血鬼だ。黒いマントにキラッと光る八重歯、そして赤い瞳。


「うん、なかなかだな。さてと、二人はどうかな」


 着替え室でパシャっとカーテンが開かれると、そこには。


「どうですか、ボス?」


「これ、少し大胆じゃないか?」


 サキュバスコスの布面積が多い版か…………悪くない。


 姉妹というコンセプトを最大限活かしながら、その魅力と色気、そして年相応の麗しさを全体で引き立てている。


 これはぎりぎりR15!!完璧だな。


「二人とも似合ってるぞ」


「ありがとう」


「べ、別にほめても何も出ないぞ!」


「別に期待してない。それより早く外に行って全力で楽しむぞ!」


 こうして、マイノ・シトリー姉妹と一緒にコスプレしながら外に出た。


□■□


 それにしても、本当にこの都市だけは俺のいた世界に侵食されつつあるような気がする。


 気が付けば、マイノ・シトリー姉妹はハロウィーンを楽しんでおり、俺はその傍らで眺めていた。


「でもまぁ、あの時に比べたら、いいか」


 そんな風に眺めていると。


「はい、おいしいお菓子ですよ」


「ありがとう、お姉ちゃん!」


「アルル?」


「あ、ご主人様」


「見かけないと思ったら、アルルも参加していたのか?」


「はい、と言ってもお手伝いですけど」


 トリックオアトリート!心臓くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ、と言ってお菓子をあげるって文面どうなってんだよ。まぁ、いまさらに訂正なんてできないし、それに周りのみんなが楽しそうならそれでいいけど。


「それにしても、ご主人様がこのような催しに参加するなんて、珍しいですね?」


「ちょうど暇だったからな…………それにしてもアルルのハロウィーンコスはとてもいいね」


 シンプルな魔女コスでとても魅力的に見える。


「あ、ありがとう…………でもご主人様のハロウィンコスもすごくかっこいいです」


「あはははは、ありがとう。それじゃあ、がんばってね」


「はい」


「さてと、二人とも、そろそろ移動するよ」


「わかった」


「お、おう!」


 ハロウィーンでにぎわう街中を歩きながら、盛り上がっている人々を眺めていると次にゼノン師匠と出会った。


「師匠、何してんの?」


「うん?なに、子供たちに一つ見世物を見せているのじゃよ」


「ゼノンがすごい技を披露してる」


「わ、私もできる!かも」


 お菓子を細かく三等分にして子供たちに渡している。その技は子供たちを魅了し、たくさんの子供と大人たちが集まっていた。


「しかし、このハロウィーンという催しはいいですな。みんな活気あふれていてこれぞ理想郷のよう」


「まぁ1日限定だけどな。でもこういう日が1日あってもいいと思う」


「わしもそう思いますな。しかし、そこの姉妹、そのコスはいささか刺激が強すぎるのでは?」


「フユナが勝手に選んだんだよ。俺の趣味じゃないぞ?」


「そうだったのですか?わしはライン様の趣味かと」


「やめてくれ、俺は子供に興味ないぞ」


「ボス」


「なんだ?」


「ボスが望むなら、この身のすべてをささげる覚悟が私たちにはある。いつでもベットに呼んで」


「ちょっと、シトリー!?私を巻き込むな!!」


「マイノは嫌だの?」


「え、あ…………いや、うぅ」


「というわけ」


「どういうことだよ!!」


「なんか、昔のアルルを見ているようだ」


「おほほほほ、ボスという存在は自然と惹かれるもの。それにボスも年頃の男ですから、そういう関係を経験しておくのも経験かもしれませんね」


「女関係のもめごとは勘弁してほしいよ」


 そいうのはすべてが終わった後にせめてしてほしい。


「ってお邪魔したな。それじゃあ、また」


「ええ、また」


 ゼノン師匠の元を離れた後、都市アルキナの中で一番高い展望に訪れた。


「きれいです」


「きれいだ」


「やっぱり、高い場所から夜空を見るのはいいものだな」


 下はハロウィーンで明るく人々の笑顔を見渡せて、上を見上げれば静かできれいな夜空が広がっている。


「ボス、一つ聞きたいことがある」


「なんだ?」


「どうして、私たちと一緒に?」


「たまたま見かけて、たまたま暇そうだったからな。それに仲間との交流は重要だろ?ほろ、アルルとかノータとかは基本毎日会うけど、お前らとはなかなか会わなし、話さないから、いい機会だなって」


「意外な返答」


「ボスは意外と、考え動いてるんだな」


「お、生意気なマイノも少しは見直したか?」


「ふん!」


「まぁ結構楽しめたし、いい目の保養にもなった。付き合ってくれてありがとな」


「お礼を言うのはこっち。こちらこそありがとう」


「私はお礼なんて言わないぞ!」


「あははは!本当に面白い姉妹だな」


 こういうコミュニケーションはちゃんとしないとな。


「そういえば、まだボスにお菓子をあげてない。マイノ」


「本当にやるのかよ」


「そう決めたでしょ」


 お菓子?もしかして、この姉妹、まさか俺なんかのためにお菓子を用意したのか?


「お菓子なんて別にいらんけど」


「ちゃんと受け取って」


「一回だけだからな!」


 っと真剣な表情で言われた。


 な、なにのお菓子をあげる気なんだよっと、少し不安になる。


「それじゃあ、ボス。目をつむって」


「早くつむれよ!」


 ほほを淡い色に染めながら、二人は顔を合わせてそう言った。


「あ、ああ、わかった」


 一体何なんだよっと目を閉じた。


 二人のぼそぼそとした会話。


「”一斉ので”、を合図でいく」

「なぁ、ほ、本当に…………」

「今更怖気つかない」

「うぅ…………」

「それじゃあ、一斉の」


 その言葉を合図に、チュッ、と柔らかい感触が俺の両ほほに伝わってきた。


「んっ!?」


 とっさに目を開き、後ろを後ずさった。


「い、今何をした?」


「これぞ、女の子だけがあげられるお菓子」


「あ、ありがたく、受け取っとけよ!」


「お、お前ら…………」


 顔が真っ赤なマイノとニコニコと満足気ながらもほほが淡い色に染まっているシトリー。


 口にはしなかったが、ハロウィンコス見た目通り、サキュバスだなと思った。


 てか、俺もなんだか顔が熱いな。


「ボス、顔が赤い」


「お、ホントだ!」


「くぅ…………これは一本取られたな」


 こうして、ハロウィーンの幕が閉じた。


ーーーーーーーーーー

あとがき


今日は10月31日ハロウィンということで、ハロウィンSSを初めて書いてみました。

お題としてはマイノ・シトリー姉妹と一緒に楽しむハロウィンといった感じで、書くのはすごく楽しかったです。

最初は書くかどうか迷ったのですが、書いてみたいという思いでつい、書いてしまって欲には勝てませんね。


というわけで、トリックオアトリート!心臓くれなきゃ、いたずらしちゃうぞ!!


でした!


読者の皆さん、ハロウィンを楽しみながら、気軽に読んでいただけると嬉しいです。


ついでにマイノ・シトリー姉妹を選んだ理由は出番が少なかったからです♪


じゃあね、バイバ~~イ!






……あとがき書くの久しぶりすぎて、緊張した。


あ、バイバ~~イ!!!!

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悪役がボスになる~冷酷非道の悪役貴族に転生してしまったので、原作最強の仲間を集めて守らせることにしました。これで俺の未来も安泰で~~す 柊オレオン @Megumen

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