【エピローグ】
小学校の卒業式の日、校門のところで、真中しずえと最後の
「君は田中洋一君かな?」
「いいや、違うよ」と言う男の周りには赤黒いモヤは見えなかった。しかし、「私は沢木キョウ君の遠い
「田中洋一君、君が沢木キョウ君の親友だったと
「はい、そうですが、何を聞きたいのでしょうか。あの事件のことで自分が知っていることは全て警察に話しました。でも、マスコミの方には話せないことになっているんです。すみません。」と、私は
「私はマスコミの人間じゃないよ。もちろん、あの事件の
「何が知りたいんでしょうか?」と私が聞くと、「沢木キョウ君のお
「花・・・ですか?」と私は返事をしたが、私の右目はこのとき、この男が墓参りに行きたいと言っていることはウソだと言っていた。
「本当にお墓参りにいきたいんですか?」と私が聞くと、その男は少し意外そうな表情をして、「今の会話からその質問が出るのは少し不思議ではないかな。田中洋一君、君はそう思わないかね?」と聞いてきた。
私は「そうでもないと思いますけど」と、少しぶっきらぼうにそう答えた。
その初老の男性は、私のそんな態度に気分を害するでもなく、「そんなに
立ち
その言葉を聞いて、その男はすぐにこちらに振り向き直し、
私が、「『特異な才能』と言ったんです。あなたは、この言葉を待っていたんですよね?」と言うと、その男は、「どうだろう・・・いや、そうかもしれない。うん、私はその言葉を聞きたかったんだと思う」と、最後は独り言のようにそう言った。
そのとき、男の周りには赤黒いモヤは
「キョウ君、いや沢木君は不思議な力を持っていました。」
「不思議な力、とは?」
「右目のことです。」
「右目?」
「ご存じないんですか?」
「私には君が何のことを言っているのかわからないよ。」
男の周りに赤黒いモヤが
「そうですか・・・。お墓参りのお花のことですけど、沢木君のお墓には、『特異な才能』という花言葉を持つ花が似合うと思います。」
「君はどこまで聞いているのかな、沢木キョウ君から。」
「ほとんど何も聞いていませんし、この右目のことも
「話しているときに左目を閉じるクセは生まれつきかな?」
「いいえ、沢木君のクセがうつったんです。」
二人の間に
数秒の静寂のあと、「ふぅ」と小さくため息をついて、その男性は私の目を
「その右目の秘密を君は詳しく知りたいかい?」
私がその質問にどのように答えたかは、あえて読者の皆さんにお教えする必要はないだろう。なぜなら今、私は『沢木キョウ』と名乗っているのだから。
(小説【永遠の秘密1:とくべつなふたり】おわり)
永遠の秘密1:とくべつなふたり ぐまひつ @gumahitsu
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