大阪城で徳川家康に滅ぼされた豊臣家。
その最後の生き残りである天秀尼(奈阿姫)のお話です。
彼女のことは資料が非常に少ないと思うのですが、千姫や淀君など周囲の人物の伝承を上手く組み込んで読み応えのあるドラマティックなストーリーに仕上がっています。
序盤は歴史に沿って話が進みますが、やはり物語の形でエピソードを読むと読みやすく面白いですね。
尼寺に入ってからはフィクションの割合が多くなるのですが、彼女が入った寺はなんと縁切寺。
夫と離縁したい女性が駆け込んでくるわけです。
やはり人間関係のいざこざは面白い。
でも下世話に見せるのではなく心温まる人間ドラマとして昇華されているあたりに、筆者さんの筆力と構成力の高さを感じます。
本当、面白い作品に出会えてうれしいです。更新楽しみにしてます。