恐ろしいほどの熱量

 あらすじも、タグも、キャッチコピーさえない。あるのは残夜の二文字だけ。

 何かの間違いだろうか。

 気になった私は、寝る前に一話だけ読もうとページを開き、後悔した。もう戻れない。これは最後まで読まなければ、決して帰ってこれないやつだ。

 私は夢中で読み耽った。現実世界を侵すほどの熱にうかされ体が熱い。いつぶりだろうか、これほど小説にのめり込んだのは。

 読み終わった頃には日付が変わっていた。だが眠れそうにない。こびりついた夜が私の頭の中に残り続けるのだ。今日は早朝から予定があるのにどうしてくれるのか。作者に文句の一つでも言うべきではないだろうか、これほどの作品を「わざと」埋もれさすとはどういうことかと。
 あぁだけど、この感情だけは抑えられそうにない。

——本当に読んでよかった