第5話

 本格的な魔法の訓練が始まった。魔素を集め、いろんな形に変えることから始まり、そこへ想像をのせる。ある時はそれをとどめ続け、ある時はそれを素早く何度も放つ。


 魔法の訓練に加え、なぜか茶道がくわわった。


 毎日やっていると慣れてくる。慣れてくるとそれを壊し、別の方法で魔法を放つ。


「ロラン。何が正しいかなど、感情で変化してしまう。」


「はい。」


「だからこそ、外面は真面目に、内面は阿呆になるのじゃ。それが、人生も魔法も豊かにしてくれる。」


 茶道の時間は己の感情がモロに出てしまう、だからこそ、人格を磨くのにもってこいなのだろう。


 茶道のお作法には相手を敬う動作がたくさん詰め込まれている。茶道は互いを敬い合う心を高め合う作法に溢れている。茶の立て方、腕の持ち方、茶の飲み方、腕の返し方。すべてが相手を思いやる心を育む。


「師匠。心が洗われます。」


「じじくさいのぉ。」


 


 3年間の訓練が終わった。僕は15歳になっていた。この世界では成人だ。


「ロランよ。わしの全てを教えてやりたかったが、ここまでのようじゃ。」


「師匠。」


 俺は気づいていた。師匠の霊体が安定していないことを。


「まあ、あとはそこの倉庫に大手あるグリモワを読めば魔法など簡単に使えるわい。それからな、わしの持ち物は全てロランにやる。とはおうものの、杖とローブ、マジックバッグくらいしか残っておらんがの! ふぉっふぉっ!」


「師匠。これまで育ててくださって、ありがとうございました。」


「なーに、未練ある霊の戯言じゃよ。ロラン、300年後くらいにまた会おう!」


 師匠はそういうと、光の玉に包まれて消えた。 


「師匠、これまでありがとうござおました。」


 俺は物置へ向かう。物置を開ける。


「【ライト】。はあ!? 嘘やろ!!」


 倉庫には豪華な杖に豪華なローブ、インナースーツはドラゴンの柔革にオリハルコンが編み込まれていた。 


「このローブと杖、インナーも、やばすぎるやろ!」


 俺は今まで着ていた服を脱ぎ、インナースーツを着る、その上に服を着て、ローブを被る。手には杖。マジックバッグは背嚢に夏わているので背負う。


 最後にグリモワを手に取る。すると、グリモワは一人でに開き、すごいスピードでページが捲られる。


「師匠の全ての魔法が頭の中に入ってしまったのか?」


 他にも、魔法財布、鍵、見たことがなおポーション、樽などが置かれていたのでマジックバッグにしまう。魔法財布はポケットにしまう。


「師匠、ありがたく頂戴します。」


 俺は洞窟を出る。今日もいい天気だな。


「さて、行くか。」


 行き先は決めていない。だけど、これから先の未来は明るい。そう感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ロスト・グリモワ 〜賢者の魔法を受け継いだ僕は、幸せになろうと思います。 松龍 @maz-ryu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る