男のくせに?女のくせに?だからなんなんだ。

@urume_cocohito

第1話 男の子と遊びたかった。

 《俺》は、皆と遊びたかっただけだった。男子たちみたいに変身ごっことか、ワイワイ話したかった。ただ、それだけだった。




▶小学五年生の頃


 「そらねちゃーん!あーそーぼー!」

「いーいーよー!」


 《わたし》は海風 空音(読み:うみかぜ そらね)。友達のそーたくんたちと遊びに行く。

「今日はなにするー?」

「じゃあ、ドッチボールやろうぜー!」

「やろうやろう!」


なんて何気なく楽しく遊んでいた。

それまではみんなと楽しく遊んでただけ。

《それまでは》そうだった。


▶小学六年生の頃


 「そらねちゃん、修学旅行の部屋班一緒だね!」

「うん!」


 ここがきっかけだったのかもしれない。今からすれば、ここが《違和感の原点》だったんだろう。



 「○○ちゃんは好きな人いるのー?」

「え〜、いないよ〜」

「絶対いるって〜」


 出た、修学旅行あるあるの恋バナだ。あるあるだし、普段でも恋の噂とかは女子の中ではよくあったから分かっていたけれど、《自分の中の何かがそれを拒絶していた。》

 ただ、その頃はその正体を知らなかった為、「ごめん、恋バナとかあんまり好きじゃないかもだから先に寝るね」なんて事を言って先に寝た。




▶中学一年生の頃


 「え、スカート…?」


 生まれて初めて《制服》というものを着た。《何かを再び感じた。》でも、ルールとしてこれを着ないといけない。だからスカートを履き、シャツに袖を通した。そしてリボンを付けた。




▶中学三年生の頃

 今更になって男女の違い、というのか、ノリの違い、みたいなものを実感した。


 男子は男子同士でつるむ。それに対して女子はと言うと小さなグループを作り、その中でしか話さない、そういった環境になっていた。


 この時に《俺》は《自分がどちらにも属していない》ことを実感した。


 昔なら誰でも彼でも話せていた自分が、まるで1人だけ弾かれているような、1人だけ浮いているような感覚があった。自分が《どちらにも属していない存在》と気づき、酷く苦しんだ。


 苦しさの正体を未だ暴けていなかったが故、何も分からず、相談もせずにひとりで教室の一席本を読んで過ごしていた。








 《俺》はただ、皆と沢山話したかったのに。

共通の趣味について沢山話したかっただけなのに。





 あの頃から《女の子》に対して苦手意識を持ってしまった。自分も《女の子》なのに。





《男の子として生まれたかった》

《なんで女の子なんだ》

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