夕ご飯・2

「あー、もぉお腹すいた」


 瑞穂みずほは長い髪を揺らしながら暗い道を歩いていた。


 先ほどやっと習い事が終わり、今は家に向かっている途中だった。


(それにしても、最近物騒だなぁ)


 瑞穂は暗い天気を見ながら今朝見たテレビのことを思い出した。それは不気味で恐ろしい事件。一家を殺してはその場を自分の家のかのようにくつろいだ形跡があるのだった。


 おまけに一家の口はハサミで切られた後にもう一度縫われるというなんとも薄気味悪い事件がここ最近起こっていたのだった。


(うちもそうゆうのに会うなんて本当にごめんだわ)


 そう思いながら早々と家に向かって行った。


 家に着き、早く風呂に入りたいと言う気持ちを持ちながらインターホンを鳴らした。だが、すぐには出てこない。


(あれ? トイレにでも入っているのかな?)


 そう思いながら一応持っていた鍵を差し込んで回したが開いている。


(えっ? なんで鍵なんて開いてるの?? まさか鍵かけ忘れたの??)


 瑞穂はそう思いながら「ただいまー」と言いながらリビングに向かった。


「ちょっとお母さん、鍵をかけ忘れているよー」


 そう思いながらリビングに行くと知らない女性が食べ終わったお皿を持っていた。


 周りにはシチューの香りが漂ってくる。


 その女性は瑞穂を見るとニコリと微笑んだ。


「お帰りなさい。習い事疲れたでしょ。シチュー使ったからたくさん食べてね。おかわりもあるからさ」


 笑顔で話す女性に瑞穂は言った。


「えっと、貴方……誰ですか?」


 瑞穂がそう言うと、女性は「んー」と言うと背後を指差した。


「あれを見ればわかるよ」


 見ると、そこには両親の後頭部が見えた。ずっと目の前のテレビを見たまま微動だにしない。


 瑞穂は生唾を飲み込んでゆっくり近づいた。


「お母さん、お父さん?」


 呼びかけても一向に返事をしない。ゆっくりと近づいて顔を見ると、両親の喉は裂かれ、頬は切り裂いた後に縫われた状態になっていた。


 その光景を見た瞬間、叫びそうになろうとすると首に何かスッとされる感触が伝わると、周りに血が飛び散った。


(えっ?)


 首を抑えると自分の首から出ているのがわかり、焦りながら必死に止めようとしても血は全然止まる様子なんてない。


 苦しみながらその場に倒れ、見上げるとさっきの女性が笑みを浮かべていた。


「あーあ、せっかく風呂入ったばっかりなのに。まぁいいや」


 女性はゆっくりと膝を曲げて瑞穂に触れた。


「大丈夫。あとで並べるからね」


 そう言うと、側にあった目覚まし時計で殴りつけた。すぐに、目の前は真っ暗になった。



▲△

 最後まで読んでくださりありがとうございます! よろしければ感想&レビューをお願い致します。




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夕ご飯 羊丸 @hitsuji29

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ