第5話 ポテチの神様

僕が社会人2、3年目の年末だったと思う。

大学時代の友達と飲むことになり六本木に集結した。


当時僕は仕事の関係で大阪に住んでおり、大阪から直行で飲み会に参加したため、キャリー式のトランクを持ったままの参戦となった。


コース料理とシャンパン飲み放題がついてるゴージャスなカラオケみたいなところで、馴染みのある安居酒屋とは一味違った環境にはしゃいでいた若い僕たちは、おそらく激しく飲んだのだと思う。


気付いたら僕は店の入り口でトランクを抱きながら寝ていたようで友達に起こされ目を覚ました。

終電は過ぎておりほとんどの人が帰っており、4人だけ残っている状況だった。


その中の1人が「財布がない!」と騒いでいた。どうやら寝てしまって起きたら財布が無くなってたらしい。

うわー、どんまい、、と思ってたら僕の財布も無かった。


同時に2人の財布が無くなったとのことで、カラオケの店員にも探してもらったりしたが見つからず。

盗まれた可能性も踏まえ警察行くしかないねという結論に。


意気消沈しながらコンビニに寄って飲み物を買おうとした時、


キャリー式のトランクを引いていた際に陳列棚にあったポテチに引っかかり落ちてしまった。


「あ」と思い直そうとしたところ、


「おい、お前何してんだよ」


とぶち切れた声が背中から聞こえてきた。


振り返ると背の小さいお兄さんが顔を真っ赤にして怒ってるではありませんか。


「お前何してるんだよ?」


他人をイラつかせる程の覇気も威厳も存在感もない僕、状況が理解できず「あ...え...」とカオナシみたいなリアクションをしていると、


「ポテチ落としてんじゃねえかよ!!」


どうやら僕の注意力が散漫になり誤って落としてしまったポテチに対して非常にお怒りの様子。


店員でもないので、怒る理由は彼が全世界のポテチを愛しポテチに愛された神様くらいしか思いつきませんが、とりあえず営業マンとして鍛えられている僕は速攻謝罪しました。


僕「すみません!ちょっと不注意で落としてしまって、、申し訳ないです」


神様「お前舐めてんじゃねえぞ!こら!」


全く怒りが収まる気配のない神様は僕の胸ぐらを掴み、掴まれた僕は平謝りしていたところに店員が呼んだ警察に連れて行かれました。


財布が盗まれた上に、知らない人に凄まれた僕は、意気消沈して帰宅し、次の日もう1人の被害者の友達と六本木の警察に行きましたが、財布は見つかりませんでした。


そしてその数日後、当日に飲んでいたカラオケ店が潰れてました。

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ちょっと笑えるアホな話 @paul-singa

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