未熟、無情。されど、書き続けて

ネット小説に作品を投稿している人たちなら共感する作品。
主人公と同じように今日もどこかで、作品が紡がれていく姿が目に浮かんでくると励ましたくなる。

「自己を捨てた人が小説家というものなんだと思う」
と、主人公は思っている。
これはある意味正しい。
小説家とは、駄目な人間が向いていると昔から言われる。
なぜならば、人生の障害を描くのが小説家の仕事だから。
病気、失意、絶望、差別、失恋、災害、確執、犯罪、失職。
どれもが作品のテーマになりうるからである。
それらを経験していると現実味が増し、凄みのある作品に仕上げることができる。
そのための文章力は欠かせないけれども。

何のために小説を書いているのかを思い直すことは大切だと思う。
人それぞれ理由が違うはず。
本作をぜひ読んで、いま一度、自身を見直すきっかけとしてほしい。