第2話

 彼女を消せという指令が下った。どうしようもない。彼女が生き続ける限り、新しい世界が作られ続けるわけだから。消すしかない。


 このまま行くと、紙のつまったコピー機みたいに、世界から色彩が消えるらしい。具体的には、時間と空間が止まる。全てが停止する。そのなかで、意志だけは永遠に残り続けるらしい。


 ようするに、全員が全員、目の前の景色を永遠に眺め続けることになる。会話もできない。身体も動かない。ただただ、意志のみが永遠に磔られた世界。感情の牢獄。


 だからといって、彼女を消せといわれても。そう簡単にはいかない。ここから先の私は、彼女といる世界か、魂を串刺し固定された世界か、どちらかを選ぶ2択に迫られ続けることになる。


 正直言って、面倒。


 また彼女が、頭を抱えている。わたしも、頭を抱えたい気分だった。どうにも頭のいたくなる2択でしかない。

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昨日の行く末 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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