第4話

【未来ATM】


「あー、金が欲しい」


っと呟く男がいた。


気づけばあっという間に社会人7年目、周りの友達は家庭を持って幸せそう、そんな中ひたすら毎日同じ仕事をし、1日1日を終えていく自分が情けなく感じていた。


彼の唯一の趣味は働いて稼いだお金を貯め、増えていく数値が刻まれた通帳を眺める事だった。


「欲しい物は沢山ある、マイホームも、高級車も欲 しい、でも今のままじゃ到底叶いそうにない、何か簡単にお金を増やす方法は無いのか、」


彼は携帯を手に取り、お金の増やし方について調べだした。


色んなサイトを観ては閉じを繰り返し、気づけば2時間も経っていた。


「やっぱそんな簡単な方法はないよな」


彼が諦めかけていたその時。


「ん、なんだこれ、未来ATM?」


検索を重ねに重ね、普通の人では辿り着けそうにない深々としたサイトに辿り着いた。


開いてみるとあからさまに怪しいサイトだった。


(お金に悩むあなたへ、未来から自分へのご褒美を)


意味が分からない、彼はそう思いながらも申し込みボタンを押してしまった。


(申し込みが完了しました。未来ATM情報を確認します···)


本当にこれでいいのか、詐欺で多額のお金を請求されないか彼は心配になってきた。


(情報を確認できました、あなたがこのATMから引き出せる額は1億5000万です)


数字を見て目が点になった。


「馬鹿げてる、詐欺に違いない」


彼はついサイトを閉じようとしたが踏みとどまった。


(ご不明な点があればこちらまで)


電話番号が書いてあり彼は真実が気になって電話をかけた。


(お電話ありがとうございます、こちら未来ATMコールセンターです、質問、不明点があればお答えします)


「そちらのサイトを閲覧させてもらったんですが、表示された額は借りるようになる感じですか?」


(いいえ、借りるだなんて滅相もございません、引き出したい額を指定してもらえればいくらでも引き出せます、もちろん全額でも)


信じられない、こんなうまい話はないだろう。


「タダでですか?」


(もちろんでございます、指定した額を引き出せばお客様の銀行口座に自動で移されます)


(お客様は1億5000万を引き出せるのですが今手続き致しましょうか?)


「それならお願いしたいです、全額で」


自分は何を言ってるんだ、絶対に踏み入れては行けない何かをしている気がするが後戻りをしようとも思えない。


(かしこまりました、お手続きは完了しましたので口座の方を確認されてください)


「わかりました、では失礼します」


(失礼致します)


電話を切ったと同時に彼は直ちに銀行に向かい、口座を確認した。


「信じられない」


本当にお金が増えているのだ、1億5000万も。


「最高だ!何でも買える!高級車も、マイホームもすぐ建てよう!」


彼は欲望のままにお金を使った。


高級車も、マイホームも建てた、他にも欲しい物を次々と購入した。


「やばいな、貯金が無くなってしまった」


金銭感覚が狂い、今までコツコツ貯めてきたお金にも手を出してしまっていた。


「金が欲しい、そうだまた未来ATMに金を貰おう」


彼はすぐさま未来ATMに申請をした。


(情報を確認しました、あなたが引き出せる額は0円です)


「ふざけるな、前回は沢山金をくれたじゃないか!」


彼はすぐさまコールセンターに電話をした。


(お電話ありがとうございます、こちら未来ATMコールセンターです、質問、不明点があればお答えします)


「金を引き出したいんだが、0円と表示される、壊れているのではないのか?」


(いいえ、間違いはございません)


「少しでもいい、お金を貰えないのか?」


(それは無理ですね、このATMはお客様が今後生涯で稼ぐお金を預かっているのです、頑張って働いて得たお金を今使うか後で使うか、という話なのです、ですので今後頑張って働いたところでお客様に給料が入る事もございません)

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