創作論……らしきもの。意外と知らない人が多い伯父と叔父と小父の違い
皆様、ごきげんよう。
今回、考察するお題は誤字脱字とはちょっと違います。
おじさん。
おばさん。
この単語に漢字をあてる場合、意味が違うということを知らないで使っている方が意外と多いのです。
例として、おじさんの方で挙げてみましょう。
伯父。
叔父。
小父。
同じ『おじさん』でも三種類の意味合いになります。
二項目の説明は長くなるのでまずは一番、簡単に説明できる『小父さん』からです。
これは文字通り、年配の人に限らず年長者の男性に対しての呼びかけの『おじさん』の意味です。
おっさんやおっちゃんとあまり変わらないと言ってもいいでしょう。
あまり漢字で表記されることはないとも言えますね。
紛らわしいと言いますか、分かりにくいと言いますか。
それでは間違いやすい二項目の『伯父』と『叔父』の違いについてです。
簡単に解説すると父親もしくは母親よりも年長。
つまり兄にあたる『おじさん』は伯の字を用いた『伯父』です。
逆に弟にあたる『おじさん』は叔の字を用いた『叔父』になるのです。
意外とこれを知らないで書かれている場合が多いのではないでしょうか?
偶にではなく、それなりの頻度で見かける間違いとも言えます。
でも、この違いが実は元々、中国の慣習に基づいていることを知れば、分かりやすいかもしれません。
日本人が大好きな『三国志』。
『三国志』に出てくる登場人物の中で兄弟が多く、有名な人の名――いわゆる
『江東の虎』こと孫堅には跡を継いだ長男の孫策とその兄亡き後、呉の国を建てた次男の孫権がいます。
この孫策は長男なので字が伯符です。
孫権は次男なので仲謀。
これを覚えておいて、次の人物です。
『三国志』後半の物語でキーキャラクターとなる後に晋を立てる司馬炎の祖父であり、諸葛亮孔明のライバルが司馬懿ですね。
この司馬懿に実は兄弟が多いのは意外と知られていません。
一番有名なのが司馬懿なので彼が長男・嫡男と思われがちですが実は違います。
司馬懿の字は仲達なのです。
故事成語にある『死せる孔明生ける仲達を走らす』にも出てくるので知っている人も多いかと思われます。
そう。
司馬懿は司馬防の次男。
彼には司馬朗、字は伯達という兄がいるのです。
弟で三男の司馬孚の字は叔達です。
何か、気付いた方もおられることでしょう。
そうです。
伯が一、仲が二、叔が三と長幼の順序を表しているのです。
伯は孟の字を使う場合があるので『三国志』に孟の字を持つ人が多いのも頷けるかと思います。
曹操は孟徳ですし、馬超は孟起と孟の字を持つ人物もまた多いのです。
ここでもう一人、忘れてはならない人物がいます。
諸葛亮孔明が信頼した才能豊かな謀臣と言えば、弟子のような立場にあった馬謖が有名ですね。
彼は『泣いて馬謖を斬る』の故事成語でも有名ですが、実は彼の兄・馬良の方が優秀で孔明の信頼厚い人物だったのです。
ただ、残念なことに彼は『夷陵の戦い』で戦死しています。
それはさておき、馬良と馬謖の兄弟は優秀なので世に知られ、『馬氏の五常。白眉もっともよし』と馬良の名は広く知られていました。
彼の眉に白髪が混じっていて、白かったので白眉と言えば、馬良だったのです。
現在でも白眉の故事成語は使われ……ていることはあまりありませんね(´・ω・`)
さて、この馬良と馬謖の兄弟、最低でも五人いることが分かりますね。
では彼らの字はどうなっているのでしょうか。
馬良の字は季常で馬謖の字は幼常です。
あれ? と思われたことでしょう。
そうなのです。
馬良は長男ではなく、何と四男。
馬謖は末弟なので五男だったのです。
はい。
つまり、長幼の順序は『伯(または孟)・仲・叔・季・幼・稚』というルールがあった訳です。
だから、馬良に季の字が入り、馬謖に幼の字が入ったんですね。
さあ、これでもう伯と叔のどちらが年長だったかな? と長幼を間違うことはないでしょう、多分(´・ω・`)
黒幸の創作論……らしきもの 黒幸 @noirneige
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