多分、先生は知っている
ホタル
(1)はじめまして
桜の花びらが少しずつ散り始める季節。
大きめのサイズをえらんで買った着慣れない制服が私の背筋を伸ばし、校舎へと歩く足には黒く光るまだ少しかたいローファー。
今日、私、
【 新入生、退場】
長かった入学式が終わり、退場のアナウンスが流れ吹奏楽部の演奏に合わせて退場して行く新入生たち
(「あ〜疲れた」)
なんて言葉は初対面の人達を前に大きな声で言えるはずもなく、心の中でそっと呟いた
【新入生は自分のクラスで待機していてください】
学年主任らしき人が私達に向かってそう指示した。
私のクラスはA組。出席番号は一番後ろだから、席も廊下側の一番後ろ。
うん。やっぱりこの位置落ち着くな〜
「あれ?!お前、A組だったの?マジか〜!良かった〜知ってる人いて!」
「え?!
皆さんご紹介します。こちら、私の幼稚園からの幼馴染。
まさか、幼馴染が同じクラスだなんて、、、、。
よし勝った。私はまずクラス分けという最大にして最難関の壁を簡単に乗り越えた。
緊張でドキドキが止まらない今、同じクラスに幼馴染がいてくれるだけでどれだけ有難いか、、、。
「幼稚園からずーっと同じクラスの記録、更新だな」
「まさか高校まで同じクラスだなんて、腐れ縁だ〜」
「だな!ってか俺の席どこ?ん〜、、、え、?一番前じゃん!!!」
「あ〜、教卓の目の前。可哀想に」
「最悪だよもう、。」
ブツブツ言いながら真ん中の一番前の席に着いた
それより、先生まだかな。
「お待たせしました」
春風が吹いて、散りかけた花びらが彼の周りをふわっと舞った。
ように見えた。
「すみませんお待たせしました。皆さん揃っていますね。
はじめまして。A組担任の、
シワのないスーツ、艶のある真っ黒な髪、整った顔。私の目には間違いなく王子様に見えた。
「ご入学おめでとうございます。この
はじめまして。
はじめまして。私の王子様。
はじめまして。私の青春。
はじめまして。私の恋心。
多分、先生は知っている ホタル @sun_ooo
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