30代の

@pao8178

第1話体力も無くなってく

マキは33歳。朝は45分前に携帯のアラームを止める。確実に間に合う時間だけど、ちゃんと歯も磨ける時間はあるし、化粧もできる。ついでにパンも食べれる。米粉パン。少しグルテンを気にする年頃だ。


会社に行きたくはない。やる気やモチベもない。けど、東京で生きるにはそうも言ってられない。YouTubeやTikTokで生きてる人たちや、副業でごりごり稼ぐ人たちが羨ましくて、会社員ってなぜこんなにも息が詰まるのか。マキは少しもやもやしながらパンにチョコレートクリームをぬる。


前向きな話がいい。時間が勿体無い。すぐに明日になる。


家を出る頃にインターホンが鳴る。心臓が飛び出るかと思って、目を玄関へやった。まぁ、居留守でいいよね。と自分を納得させて沈黙を待った。


え。一体、、、


怖くて画面を見たら若くて綺麗な人が怒って立っている。



どうにか思い出そうとしても、思い出せない。誰か分からないけど、出るべきか。謎の緊張感はある。


もう一度、ピンポーン。


仕方ない。


『はい、、』


『おねぇちゃん!ちょっと聞いてよ』


わたしに妹はいない。


『えっと、、』


『開けてって、もうタカヤが浮気してたんだよ。やっぱり結婚なんかできない。付き合って3年だよ。やっとプロポーズしてくれたとこだったのに、、会社の同僚と浮気してたんだよ。堂々と。すごくない?ありえないよね。開けてよ!』


『え、あ、?ごめんなさい』と咄嗟に開けてしまった。


その若い女性も固まっている。


『え、、、誰、あ、お姉の友達?いや、え、507????間違えました!!!すみません』


その若い女性は首まで赤くなって、慌てて走っていく。


マキも少しドキドキしたが、ほっとした。


時間を見るともう出る時間。何があっても間に合う時間だから大丈夫だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

30代の @pao8178

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る