第1話 裏
「うわっ、破壊神だよ」
「なんでこんな所うろついてるんだろ?」
彼が噴水前なんて言う目立つ所にいるのは珍しい。
基本的に人目を避けて行動しているのに。
「そういやまたフラグを叩き折ったんだっけ?」
「あー、4年のマーゴット先輩な。共同研究誘ったけど断られたって言ってた」
確か子爵家のご令嬢だったか。華やかな雰囲気のある先輩だ。
「卒論で忙しいこの時期に共同研究って、あからさま過ぎるだろ」
「口実にしか聞こえないもんなあ。硬派な彼なら断るか」
彼の特異な魔術を一度でも見ればガチで共同研究に誘いたくもなるだろうが、時期を考えるとハニートラップの類だろうな。
彼の血と才能はどの貴族家でも欲しがるだろうし。
「あっ! ヘイデンくん、ジェイコブくんこんにちは!」
「「クリスティン教官! お疲れ様です!」」
気付けば時間が経っていたのか彼はいなくなり、入れ替わるようにクリスティン教官がやって来ていた。
誰かを探すようにキョロキョロとあたりを見回している。
「あの、お二人はリュウくんをお見かけしませんでしたか?」
「あぁ……」
そうか、彼は教官に呼び出されていたからこんな所にいたのか。
「先程まではそちらにいたのですが……」
もちろんそこにはもう彼の姿はない。
「……もうっ! またリュウくんはっ!」
そういうと教官は彼を探して駆け出していった。
「あー、さすが破壊神(フラグクラッシャー)」
「まさか教官までとはなぁ」
リュウ・ホワイトフィールド。
彼は「破壊神」とまで言われる、所謂女の敵である。
異世界における魔法の定義 盈月 @EiGetsu
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